会社を辞めると、翌日から健康保険が使えなくなります。
退職後すぐ自分で選んで入り直さないといけないのですが、選択肢は3つあって、どれを選ぶかで毎月の保険料が数万円変わることもあります。
- 選択肢は?任意継続・国保・扶養の3択
- 手続き期限は?任意継続は退職後20日以内
- いちばん安いのは?扶養に入れるなら扶養が最安
- 扶養に入れない場合は?保険料を計算して比較が必須
- 2022年の変更は?任意継続を途中でやめて国保に切替可能に
注意:保険料は収入・扶養家族の人数・住んでいる市区町村によって大きく変わります。この記事はあくまで目安です。実際の金額は各窓口で確認してください。
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そもそも、なんで退職後に自分で保険を選ばないといけないの?
在職中は、会社が「社会保険(健康保険)」に加入させてくれています。保険料は会社と半分ずつ出し合っていて、あなたの給料から天引きされています。
会社を辞めると、退職日の翌日に自動的にその健康保険から外れます。次の仕事で社会保険に加入するまでのあいだ、健康保険の「空白」ができてしまうんです。
日本は「国民皆保険」といって、全員がどこかの健康保険に入らないといけない決まりです。「退職したからしばらく保険なし」はルール上できません。だから自分で次の保険を選んで、手続きする必要があります。
加入しないと、病院に行ったとき医療費が10割負担(全額自己負担)になります。また保険料の未払いは後から請求されることもあります。退職後は早めに手続きをしましょう。
選択肢は3つ。それぞれどんな制度なの?
退職後に入れる健康保険の選択肢はこの3つです。
退職後に選べる健康保険の3パターン
「扶養に入れるなら迷わず扶養」が基本です。自己負担ゼロなので、保険料の面では最もお得です。ただし収入や失業給付の受給状況によって入れない場合があるので、まず条件を確認しましょう。
扶養に入れるのはどんなとき? 失業給付をもらいながらでもOK?
扶養(正確には「被扶養者」)に入るには、次の条件をすべて満たす必要があります。
扶養に入れる条件(代表的なもの)
- 年収(見込み)が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)
- 扶養してくれる家族の年収の2分の1未満であること(同居の場合)
- 扶養してくれる家族が健康保険(社会保険)に加入していること
失業給付(失業手当)を受けている場合は注意が必要です。失業給付も「収入」とみなされます。日額3,612円以上の給付を受けているあいだは、年収130万円換算(3,612円×365日=約132万円)を超えてしまうため、扶養に入れないことがあります。失業給付の受給期間が終わってから扶養に入るのが一般的です。
たとえば、妊娠を機に退職して、すぐに失業給付の申請をしない場合は収入ゼロとみなされるので、すぐ扶養に入れます。一方、転職活動しながら失業給付をもらう場合は、その間は扶養に入れないケースが多いです。
任意継続と国保、どっちが安いの?
扶養に入れない場合、「任意継続」と「国民健康保険(国保)」のどちらが安いかは、収入・扶養家族の有無・住んでいる市区町村によって変わります。一般論として、よく言われる傾向はこうです。
保険料の大まかな傾向
退職後の収入と保険料の有利不利(イメージ)。実際の金額は個別に確認が必要。
比較のポイント3つ
| 比較項目 | 任意継続 | 国保 |
|---|---|---|
| 保険料の基準 | 退職時の給与(2年間固定) | 前年の所得(毎年4月に改定) |
| 収入が減ったら? | 下がらない (退職後に収入が激減しても2年間変わらない) |
翌年度から下がる (収入ゼロなら翌年は大幅に安くなる) |
| 扶養家族がいる場合 | 家族分の追加保険料なし有利 | 家族それぞれに保険料が発生(人数分かかる) |
| 途中で切替できる? | 2022年1月〜できるようになった改善 | いつでも切替可能 |
| 手続き期限 | 退職日翌日から20日以内 | 退職日翌日から14日以内 |
「前の給料が高かった人」は任意継続でも保険料に上限(標準報酬月額の上限)があるため、案外安くなることがあります。一方「今後収入がほぼゼロになる人」は、1年目は高くても翌年度から国保が大幅に安くなります。正確な金額はそれぞれの窓口で試算してから比べるのが鉄則です。
退職後は収入が変わるので、月々の支出と残りの貯蓄を「見える化」しておくことが重要です。マネーフォワード MEなら銀行・カードを一括管理できます(無料)。退職後の家計の変化をリアルタイムで把握できます。
2022年の法改正で何が変わったの?任意継続が柔軟になった
これは知っておくと得する情報です。2022年1月の法改正前は、任意継続に入ると「途中でやめたくても2年間は抜け出せない」という縛りがありました。
今はいつでも自分の意思で任意継続をやめて国保に切り替えられます。「申し出が受理された翌月1日」に資格喪失になります。
「1年目は任意継続、2年目に国保へ切替」という戦略が使えます
2022年の法改正後に使えるようになった「任意継続→国保」の切替戦略
注意点として、任意継続の途中脱退は「申し出た翌月1日」から有効になります。遡って脱退はできません。また、任意継続を一度やめると再加入はできないので、切替は慎重に決めましょう。切替を考えているなら、毎年6月ごろに国保の保険料額が確定するので、そのタイミングで比較するのが実践的です。
会社都合で辞めた場合、国保料が大幅に安くなる特例がある?
倒産・解雇・雇い止めなど、自分の意思ではなく辞めることになった人(非自発的失業者)は、国民健康保険料が大幅に安くなる特例制度があります。
どれくらい安くなるの?
前年の給与所得を「30%」として保険料を計算してくれます。つまり、実際の所得の3割分しか保険料に反映されない、ということです。
例:前年の給与所得が400万円だった場合 → 400万円 × 30% = 120万円として計算。保険料がそのまま計算されるより大幅に下がります。
対象になる人は?
- 倒産・解雇・雇い止めにより失業した(雇用保険の「特定受給資格者」)
- 正当な理由のある自己都合退職(雇用保険の「特定理由離職者」)
- 離職時に65歳未満
- ハローワークで雇用保険受給資格者証の交付を受けている
「自己都合退職でも対象になる場合がある」というのは意外と知られていません。ハローワークで雇用保険の手続きをした後に、市区町村の国保窓口で「非自発的失業者の軽減申請」をしましょう。自動的に適用はされず、申請が必要なので注意してください。
この特例は「会社都合退職=国保が有利」とは限りません。扶養家族が多い場合や、前年収入が高い場合は任意継続の方が安いケースもあります。必ず両方の金額を試算して比較しましょう。
結局、自分はどれを選べばいい?シンプルな判断フロー
状況によって最適解が変わります。次の順番で考えると整理しやすいです。
迷ったときは「退職後すぐは任意継続で入っておき、翌年6月に国保の金額が出てから比較して切替を検討する」というのが現実的な選択です。任意継続の申請期限(退職後20日以内)を逃すと任意継続は選べなくなるので、まず期限内に申請だけしておくのも一つの方法です。
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「次の仕事が決まれば、健康保険の悩みも解消する」
再就職すれば新しい勤め先で社会保険に加入できます。健康保険の保険料も会社と折半に戻ります。在職中から転職活動を始めれば、空白期間の保険料負担を最小限に抑えられます。
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手続きって、どこに何を出せばいい?期限はいつ?
選んだ制度によって手続き先が違います。期限を過ぎると選択肢が狭まるので、退職後はすぐに動くのが鉄則です。
任意継続を選ぶ場合
- 期限:退職日の翌日から20日以内(1日でも過ぎると申請できなくなります)
- 手続き先:退職前の健康保険組合または協会けんぽ
- 必要なもの:任意継続申請書(保険者に確認)・マイナンバーなど
国民健康保険を選ぶ場合
- 期限:退職日の翌日から14日以内(遅れても加入はできますが、保険料は退職日翌日にさかのぼって発生します)
- 手続き先:住んでいる市区町村の役所(国保窓口)
- 必要なもの:健康保険資格喪失証明書・マイナンバーカードなど
扶養に入る場合
- 期限:事由が生じてから5日以内(健保組合によって異なる)
- 手続き先:扶養してくれる家族の勤め先(会社の総務・人事経由)
- 必要なもの:被扶養者異動届・収入を証明する書類など
どの健康保険に入るか迷っている間も、退職日の翌日から保険料は発生し始めます。「決まってから手続きしよう」と思っているうちに任意継続の20日期限を過ぎてしまうケースが多いです。迷ったらまず任意継続の申請をしておき、その後に国保と比較して切替を判断するのが安全です。
みんなが気になる Q&A
A.退職した会社が発行してくれます。退職後に国保や扶養の手続きをする際に必要です。退職時に会社から自動的にもらえる場合もありますが、もらえない場合は会社の総務に依頼してください。会社が対応しない場合は、日本年金機構(年金事務所)でも発行してもらえます。
A.納付期限を1日でも過ぎると、自動的に任意継続の資格を失います。猶予や言い訳は認められません。うっかり忘れが心配な方は口座振替の設定をしておきましょう。なお、期限を過ぎて資格を失った場合は、速やかに国保か扶養の手続きが必要です。
A.パートナー(配偶者)の扶養に入れる場合はそちらが最安です。扶養に入れない場合は任意継続か国保を選びます。なお、退職前に1年以上同じ健康保険に入っていて、退職後6か月以内に出産した場合は「出産育児一時金」を前の会社の健康保険から受け取れる場合があります。また、任意継続を選んでいれば傷病手当金・出産手当金の継続給付条件を満たしていれば引き続き受け取れる場合もあります。
A.原則、空白は生じません。任意継続の資格喪失日(申し出が受理された月の翌月1日)から、国保の加入日が始まります。ただし、国保の加入届を役所に出す手続きが必要です。資格喪失証明書をもって市区町村の窓口に行きましょう。
A.健康保険と年金は別々に手続きが必要です。厚生年金は退職と同時に資格喪失します。60歳未満の方は国民年金(第1号被保険者)に切り替える手続きが必要です。扶養に入る場合は第3号被保険者になれるので、年金保険料も免除されます。国保の手続きと同時に役所の年金窓口でも手続きするとスムーズです。
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退職後の手続きは健康保険だけでなく、年金・失業給付・確定申告など同時進行です。何から手をつければいいか、FPに相談すると自分の状況に合った優先順位を整理してもらえます。
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もっと詳しく知りたいとき(公式の情報)
この記事はわかりやすさを優先して、細かいルールを省略している部分があります。保険料の金額は地域・収入・家族構成によって大きく異なるため、必ず各窓口で確認してください。
この記事は一般的なケースをわかりやすくまとめたものです。保険料の実際の金額は加入先の健康保険・お住まいの市区町村にご確認ください。