生活保護を受けていると医療費がタダになるってほんと?医療扶助のしくみ

生活保護を受けていると医療費がタダになるってほんと?医療扶助のしくみ
最終更新日:2026.03.22
ざっくり言うと

病気やケガをしたとき、ふつうは病院の窓口で3割を自己負担しますよね。
でも、生活保護を受けている場合は、その3割負担がゼロになります。
これが「医療扶助」と呼ばれるしくみです。受診のたびにお金を払う必要がありません。

  • 窓口負担は?原則ゼロ円
  • 誰が対象?生活保護を受けている人
  • 薬代は?無料(調剤扶助として出る)
  • 病院の選び方は?指定医療機関のみ受診可
  • 手続きは?受診前に医療券を取得
  • 入院は対象?対象(入院扶助として)

注意:受診できるのは「指定医療機関」に限られます。自分で自由に病院を選べるわけではありません。また、医療保険証ではなく「医療券」を使うので、事前に福祉事務所への連絡が必要です。

あわせて読みたい サムネイル 生活保護ってそもそも何?8つの扶助の全体像 医療・住宅・生活扶助など、生活保護の8種類の給付をわかりやすくまとめました。

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そもそも医療扶助ってなんで必要なの?

ふだん病院に行くと、窓口で3割を払いますよね。残りの7割は健康保険が負担してくれています。

でも、生活保護を受けている状態というのは、生活費そのものがギリギリという状況です。そんな中で「病院のたびに数百〜数千円かかる」となると、病気なのに受診を我慢してしまう人が出てきます。

「お金がないから病院に行けない」という状況をなくすために、医療費の自己負担をゼロにするというのが医療扶助の目的です。

ふつうの病院受診 窓口で払うのは 3割 残りは健康保険が負担 生活保護受給者の場合 生活費がギリギリの状態 3割でも払えない → 受診を我慢してしまう これを防ぐために… 医療扶助で窓口負担を ゼロ に!

医療扶助が必要な理由

つまり、「病気なのにお金がなくて病院に行けない」という状況をなくすための制度です。生活保護の8つの扶助の中でも、金額のうえでもっとも大きな割合を占めています。それだけ使われている、必要とされている制度ということです。

実際どんな医療が無料になるの?

医療扶助でカバーされるのは、基本的に健康保険が使える医療全般です。ふつうの受診で3割負担が発生するものは、ほとんど対象になります。

対象になる主なもの

  • 内科・外科・小児科など一般的な通院・入院
  • 歯科診療(虫歯治療・入れ歯・抜歯など保険適用のもの)
  • 薬代(調剤):「調剤扶助」として別に出る。処方された薬は無料
  • 眼科・耳鼻科・皮膚科・精神科・心療内科など
  • 訪問診療・往診(自力で通院できない場合)
  • 入院費・食事療養費の一部(入院扶助として別途)

対象にならない主なもの

  • 保険適用外の治療(自由診療・美容整形など)
  • 差額ベッド代(個室など)
  • 健康診断・予防接種(自費のもの)
  • 市販薬(OTC医薬品)

「薬代も無料?」→ はい。処方箋で薬局でもらう薬は「調剤扶助」として別に対応されるので、お金はかかりません。ただし、市販薬を自分で買う場合は対象外です。原則として医師に処方してもらう形をとる必要があります。

ジェネリック医薬品について:医療扶助では、原則として後発医薬品(ジェネリック)を使うことになっています。先発品を希望する場合は、医師が医学的に必要と認めた場合に限られます。

誰が対象なの? 条件はあるの?

医療扶助を受けられるのは、生活保護を受給している人です。医療扶助だけを単独で申請することはできません。

生活保護の対象になる基本的な条件は、次のとおりです。

1
収入・資産が最低生活費を下回っている 給与・年金・仕送りなどの収入と、預貯金・保険などの資産を合わせて、国が定める「最低生活費」に満たない状態であること。
2
利用できる他の手段をすべて使っている 働けるのに働かない、使える資産を売らない、受け取れる年金や手当を申請していない、といった状態でないこと。
3
扶養義務者からの援助が受けられない 親・兄弟・子などから経済的な援助を受けることができない状況であること(援助できる親族がいる場合も、必ずしも受給できないわけではありません)。

「働いていたらもらえない?」→ そんなことはありません。働いていても収入が最低生活費を下回っていれば対象になります。また「扶養照会」(親族への連絡)は必須ではなく、DV・虐待などの事情があれば省略できます。申請をためらう必要はないので、まずは窓口に相談してみてください。

あわせて読みたい サムネイル 生活保護の申請ってどうすればいい?窓口と手順まとめ どこに相談するか、申請に必要なものは何か、審査はどのくらいかかるかを解説。

どうやって病院に行けばいいの? 健康保険証は使えない?

生活保護を受給すると、多くの場合は国民健康保険から脱退します。つまり、これまで持っていた保険証は使えなくなります。

代わりに「医療券(いりょうけん)」という書類を福祉事務所から発行してもらって、それを病院に持参して受診します。

受診の流れ(基本パターン)

1
担当のケースワーカーに連絡する 病院に行きたい旨を、担当のケースワーカー(福祉事務所の担当者)に伝えます。緊急の場合は直接福祉事務所に電話でもOKです。
2
医療券を発行してもらう 福祉事務所から「医療券」または「調剤券」が発行されます。初めての病院・薬局の場合は受診前に発行が必要です。
3
指定医療機関に医療券を持参して受診 受診できるのは「指定医療機関」のみです。多くの病院・クリニックが指定を受けています。窓口で医療券を提示すれば、支払いは不要です。
4
薬局でも調剤券を使う 処方箋をもらったら、指定薬局に「調剤券」を持参します。薬代もゼロ円です。
あなた 福祉事務所 指定病院 1 受診したい旨を連絡 ケースワーカーに電話など 2 医療券を発行してもらう 初診の場合は事前に必要 3 医療券を持参して受診 窓口でのお支払いはゼロ円! かかりつけ病院が決まっている場合:医療券不要のことも

医療扶助を使うときの流れ

「毎回医療券を取りに行くの?」→ 同じ病院に継続して通っている場合は、「継続分」として医療券なしで受診できることが多いです。担当のケースワーカーに「いつもの病院に通っているので月ごとに手続きが必要ですか?」と確認しておくとスムーズです。

緊急の場合:急病や救急搬送などで事前に医療券を取れなかった場合でも、受診後に福祉事務所に連絡すれば対応してもらえます。命に関わる状況なら、まず救急車を呼んでください。

「指定医療機関かどうかわからない」「ケースワーカーへの連絡が不安」という方は、生活困窮者支援の無料相談窓口に相談することも選択肢のひとつです。

こういうときどうなの?(よくあるケース)

歯医者に行きたい場合

歯科診療も医療扶助の対象です。ただし、保険適用の治療に限られます。虫歯治療・抜歯・保険適用の入れ歯(義歯)などはカバーされますが、セラミックや自費の被せ物などは対象外です。

ポイントは「指定の歯科医院」に受診すること。担当のケースワーカーに相談すれば、近くの指定歯科医院を教えてもらえます。

精神科・心療内科に行きたい場合

精神科・心療内科も医療扶助の対象です。うつ病・統合失調症・不安障害などの治療も通常の受診と同じように受けられます。

「生活保護を受けていることを病院に知られたくない」と思う方もいますが、医療券を使う以上は病院側に保護受給中であることはわかります。ただし、医療機関には守秘義務があります。

入院が必要になった場合

入院費用も対象です。ただし、入院時の「食費の一部」は自己負担になるケースがあります(「入院患者日用品費」等)。詳しくは担当のケースワーカーに確認してください。

訪問看護・在宅医療を受けたい場合

自力で通院が難しい状態であれば、訪問診療や訪問看護も医療扶助の対象になります。「往診してほしい」「訪問看護を使いたい」という場合もケースワーカーに相談してください。

自立支援医療との関係は?

精神科の通院をしている場合、「自立支援医療(精神通院医療)」という制度もあります。これは自己負担を1割に抑える制度ですが、生活保護を受給していれば医療扶助が優先され、実質ゼロ円になります。両方の申請をしておくことが正式な手順ですので、担当者に確認しておきましょう。

あわせて読みたい サムネイル 自立支援医療(精神通院)ってなに?対象と申請のしかた 精神科・心療内科の通院費を1割負担に抑えられる制度をわかりやすく解説。

高額療養費や国保とはどう違うの?

医療費に関係する制度はいくつかあります。整理するとこういう関係です。

医療費の負担軽減に関わる主な制度 それぞれ対象者・しくみが異なります ← このページ 医療扶助 → 窓口負担ゼロ円 生活保護受給者が対象。健康保険証の代わりに医療券を使う 高額療養費制度 医療費が高額になったとき、上限を超えた分が戻る → 健康保険加入者が対象(生活保護受給中は使えない) 国民健康保険(国保) 窓口で3割負担にしてくれるしくみ → 生活保護を受けると通常は脱退する 自立支援医療 精神科通院・育成医療・更生医療の自己負担を1割に → 生活保護受給中は医療扶助が優先されゼロ円に ※ 生活保護中は医療扶助が最も強力な制度

医療費に関する制度の比較

ポイントは「生活保護を受けている間は、医療扶助が医療費の面でいちばん手厚い」ということです。高額療養費や国保よりもさらに自己負担が少ない(ゼロ)状態になります。そのかわり、受診できる病院が「指定医療機関」に限定されるという制約があります。

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みんなが気になる Q&A

Q. 医療券って毎月もらいに行くの?めんどくさくない?

A.同じ病院に継続して通っている場合は、月ごとに毎回取りに行かなくてよいケースがほとんどです。「月次更新」で処理されることが多いです。ただし、新しい病院にはじめてかかる場合は、事前に医療券の発行が必要です。担当のケースワーカーに「いつもの病院の分はどうなりますか?」と確認しておくと安心です。

Q. 保護を受けながら働いていても医療扶助は使える?

A.使えます。生活保護を受給中であれば、働いているかどうかに関わらず医療扶助は適用されます。ただし、収入が増えて最低生活費を超えると保護が廃止になり、医療扶助も使えなくなります。「働きながら保護を受けている」状態でも、受給が続いている限りは対象です。

Q. 自分で病院を選べないの?

A.受診できるのは都道府県知事等が指定した「指定医療機関」に限られます。とはいえ、多くのかかりつけクリニックや大病院は指定を受けているので、日常的な受診で困ることはほとんどありません。「この病院に行きたい」という希望があれば、ケースワーカーに指定医療機関かどうか確認してもらえます。

Q. コンタクトレンズや眼鏡も出るの?

A.眼鏡は「治療材料給付」として支給される場合があります。ただし、コンタクトレンズは原則として対象外です(医師が医学的に必要と認めた特別な場合を除く)。眼鏡の支給も上限額があり、高級フレームや高度な機能はカバーされません。担当のケースワーカーに相談してください。

Q. 生活保護が終わったら医療扶助も終わり?

A.はい。生活保護の受給が終了(廃止)になると、医療扶助も使えなくなります。保護廃止後は、国民健康保険や健康保険に加入することになります。収入が増えて保護廃止になる場合は、ケースワーカーと一緒に「その後の医療費の備え」を確認しておくといいです。

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「申請したいけど、窓口でうまく伝えられるか不安…」

福祉事務所の窓口では、申請を断られたり、書類を不当に返されるケース(「水際作戦」)が指摘されることがあります。NPOや支援団体の同行支援サービスを使えば、スムーズに申請できることが多いです。

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この記事はわかりやすさを優先して、細かいルールを省略している部分があります。最終的に正確な情報は、以下の公式サイトや、お住まいの地域の福祉事務所の窓口で確認してください。

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