65歳以上で退職したら失業保険はもらえる?高年齢求職者給付金のしくみ

65歳以上で退職したら失業保険はもらえる?高年齢求職者給付金のしくみ
最終更新日:2026.03.26
ざっくり言うと

65歳を過ぎて仕事を辞めたとき、「もう失業保険はもらえないの?」と思う人も多いです。
でも実は、65歳以上でも条件を満たせばお金がもらえる制度があります。
それが「高年齢求職者給付金」です。年金をもらいながら同時に受け取れるのも大きなポイントです。

  • 対象は?65歳以上で離職した人
  • いくら?30日分または50日分を一括で
  • 年金と?一緒にもらえる(減額なし)
  • 手続きは?ハローワークで自分で申請
  • 期限は?離職日の翌日から1年以内
  • 何回でも?何度でも受給できる

注意:64歳以下が対象の「失業保険(基本手当)」とは別の制度です。65歳以上になると自動的にこちらに切り替わります。

あわせて読みたい サムネイル 失業保険(基本手当)のきほん|仕事を辞めたらいくらもらえる? 64歳以下の方が対象の失業給付。金額・期間・申請手順をわかりやすく解説します。

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そもそも、なんで65歳以上は別の制度なの?

日本の失業保険(正式名称:雇用保険の基本手当)は、64歳以下の人を対象にした制度です。 そのため65歳になると、ふつうの失業保険を受け取る権利がなくなってしまいます。

でも、65歳を過ぎても「まだ働きたい」という人はたくさんいますよね。 定年後に別の会社でパートをしていた、再雇用でそのまま働いていた、でも事情があって辞めることになった――そういうケースはとても多いです。

そこで設けられたのが「高年齢求職者給付金」です。 65歳以上の雇用保険加入者(正式には「高年齢被保険者」)が仕事を辞めたときに、 再就職活動を支援するために支給される一時金のことです。

離職したときにもらえる給付金 64歳以下の場合 失業保険(基本手当) 給付日数:90〜330日 4週間ごとに分割支給 年金との 併給はできない ※65歳未満の年金 (特別支給)に限る 65歳以上の場合 高年齢求職者給付金 (この記事の制度) 給付日数:30日 or 50日 まとめて一括支給 年金との 併給できる! 年金が減額されることも ありません

65歳以上になると失業給付の制度が切り替わります。

つまり、「65歳になったら失業保険はもらえない」ではなく、「もらえる制度が別になる」ということです。しかも年金と同時に受け取れる点が、65歳以上限定のメリットです。

誰がもらえるの? 条件はあるの?

条件はシンプルで、次の2つを満たす必要があります。

条件①:雇用保険に6か月以上入っていた

離職した日の1年前までの間に、雇用保険(高年齢被保険者)として加入していた期間が通算6か月以上あること。

「通算」なので、1年の間に少し空白があっても合計6か月以上であればOKです。
加入期間のカウント方法:ひと月ごとに区切って、賃金が支払われた日数が11日以上ある月を「1か月」と数えます。11日未満の月でも、働いた時間が80時間以上なら1か月にカウントされます(2020年8月以降のルール)。

条件②:「失業の状態」にある

失業の状態とは、「働く意思と能力があって、積極的に仕事を探しているのに就職できていない状態」のことです。

次のような場合は、失業とはみなされないため受け取れません。

  • 病気やけがですぐに働けない(→ 回復後に申請できることあり)
  • 自営業を始めた、または始める予定がある
  • 引退して就職する気がない
  • すでに次の就職先が決まっている(就職前の場合)

定年後に再雇用されていた場合の注意:定年退職直後に「再雇用」として同じ会社で続けて働いていたなら、その間も雇用保険に加入していれば対象です。ただし、あくまで「再雇用後に退職する」タイミングで申請することになります。

65歳の誕生日の「1日前」からが対象です。
正確には、65歳になった誕生日の前日(=64歳の最終日)以降に離職した場合が対象になります。誕生日をまたいで辞める場合は、ハローワークに事前確認しておくと安心です。

いくらもらえるの? 計算方法は?

もらえる金額は、「基本手当日額」×「支給日数」で決まります。 支給日数は雇用保険の加入期間によって変わります。

支給日数のルール

  • 雇用保険に加入していた期間が1年未満:30日分
  • 雇用保険に加入していた期間が1年以上:50日分

通常の失業保険(最低90日〜最大330日)と比べると日数は少なめですが、まとめて一括でもらえます。

基本手当日額の計算ステップ

1
賃金日額を計算する 退職前6か月間の給与合計 ÷ 180日=賃金日額
基本給+通勤手当など各種手当を含みます。ただしボーナスや3か月を超えるスパンの臨時報酬は除きます。
2
給付率をかけて基本手当日額を出す 賃金日額が低いほど給付率は高く(最大80%)、高いほど低くなります(最低50%程度)。
65歳以上の場合、基本手当日額の計算には「60歳以上65歳未満」の給付率テーブルが適用されます。
3
基本手当日額 × 支給日数 = 受給額 これが一括で振り込まれます。

計算例:退職前6か月の給与合計が120万円だったAさん(加入期間2年)の場合。
賃金日額=120万円÷180=6,667円
基本手当日額≒約4,700〜5,000円(給付率75%前後として)
受給額≒4,800円×50日=約24万円(あくまで目安)
※実際の金額は日額の上限・下限規定にも左右されます。正確な額はハローワークで確認を。

基本手当日額の上限・下限は毎年8月1日に改定されます。最新の金額は厚生労働省またはハローワークで確認してください。

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年金をもらいながら同時に受け取れるの?

これが高年齢求職者給付金の大きな特徴です。老齢年金と同時にもらえます。 年金が減額されることもありません。

通常の失業保険(64歳以下対象の基本手当)は、 65歳以前にもらえる「特別支給の老齢厚生年金」と同時には受け取れません。 どちらかを選ばなければならないんです。

でも高年齢求職者給付金は65歳以上が対象なので、 すでに老齢年金を受給している人もそのまま受け取れます。 これは制度設計の大きな違いです。

年金との関係 失業保険(基本手当) 64歳以下が対象 特別支給の年金と 同時受給 ✕ どちらか一方を 選択する必要あり 高年齢求職者給付金 65歳以上が対象 老齢年金と 同時受給 ✓ 年金は減額されない

高年齢求職者給付金なら、年金をもらいながら同時に受け取れます。

「年金と合わせてもらえる」ということは、65歳以上で離職したときの生活の安心感がぐっと違ってきます。年金を止める必要も、どちらかを諦める必要もありません。

どうやってもらうの? 手続きの流れ

高年齢求職者給付金は自分でハローワークへ申請します。 病院が代わりに手続きしてくれる制度などとは違い、自分で動く必要があります。 ただし手順はシンプルで、おおむね次のような流れです。

1
離職票を受け取る 退職後、会社から「離職票」が郵送されてきます。これが申請に必要な書類です。通常、退職後10日〜2週間程度で届きます。
2
ハローワークへ行く(求職の申し込み) 住所を管轄するハローワークへ行き、求職の申し込みをします。オンライン(ハローワークインターネットサービス)で事前に仮登録することもできます。
3
7日間の待期を経て認定 申し込みが受理されてから7日間は「待期」といって、給付金が支給されません。この期間は仕事をしないことが条件です(自己都合の場合はさらに給付制限あり)。
4
失業認定を受けて、一括支給 ハローワークで「失業の状態」と認定されると、支給日数分(30日または50日分)が一度に振り込まれます。

受給期限に注意:高年齢求職者給付金は離職日の翌日から1年以内に受け取らなければなりません。申請が遅れると、その分受け取れる金額が減ってしまうこともあります。退職したらなるべく早めに動きましょう。

自己都合退職の場合は「給付制限」がある

正当な理由なく自分の都合で辞めた場合(自己都合退職)は、 7日間の待期のあとにさらに1か月間給付金が支給されません(給付制限)。 5年間で3回以上繰り返した場合や、重大な理由で解雇された場合は3か月に延びます。

2025年4月1日以降の自己都合退職は給付制限が「2か月→1か月」に短縮されました。以前よりも早めに受け取れるようになっています。

申請ってどこに何を出せばいいの?

どこに行く?

自分の住所を管轄するハローワークに行きます。 勤めていた会社の近くのハローワークではなく、「今住んでいる場所」を管轄する窓口です。

「どこのハローワークに行けばいいかわからない」というときは、ハローワーク公式サイトで郵便番号を入力すると管轄のハローワークを調べられます。

何を持っていく?

  • 離職票(会社から届く書類。1と2の両方)
  • マイナンバーカード(本人確認と番号確認を1枚で完結できる)
  • マイナンバーカードがない場合は、①通知カードなど個人番号確認書類+②運転免許証などの身元確認書類
  • 証明写真1枚(3cm×2.4cm)
  • 本人名義の通帳またはキャッシュカード(振込先口座の確認用)

船員として働いていた方は、ハローワークではなく地方運輸局での手続きが必要です。

こういうときどうなるの? よくあるケース

働きながらもらえる?

一定の条件を満たせば、週20時間未満のパートなどを続けながらもらえます。 ただし7日間の待期中は仕事してはいけません。また週20時間以上の仕事をすると雇用保険加入義務が生じるため、失業の状態に該当しなくなります。

「少し働きながら活動したい」という場合は、ハローワークに事前に相談するのが一番です。働いた日数と収入をきちんと申告すれば問題なく受け取れるケースが多いです。

何度でも受け取れる?

はい、何度でも受け取れます。65歳以上の制度には年齢の上限も受給回数の制限もありません。 一度受け取ったあとに別の会社で働いて、また辞めた場合も、 雇用保険の条件(6か月以上加入)を再び満たせばまた申請できます。

定年後に再雇用されていた場合は?

定年退職後に同じ会社で「嘱託」「契約社員」などとして再雇用されていた場合も、 その再雇用期間中に雇用保険(高年齢被保険者)として加入していれば対象です。 再雇用中に退職したタイミングで申請します。

病気で今はすぐ働けない場合は?

「今すぐ働くことができない」状態だと失業の条件を満たさないため、すぐには申請できません。 回復して働ける状態になってから手続きを始めます。 受給期限(1年)の間に受け取れなくなる場合は「受給期間の延長申請」という特例が使えることもあるので、ハローワークに相談してみてください。

失業保険(基本手当)と何が違うの?

よく混同されますが、65歳の前後で適用される制度がガラッと変わります。 主な違いをまとめると次のとおりです。

項目 失業保険(基本手当) 高年齢求職者給付金
対象年齢 64歳以下 65歳以上
支給日数 90〜330日(年齢・加入期間・理由により変動) 30日または50日(固定)
支給方法 4週間ごとに分割支給 一括で全額支給
年金との併給 特別支給の年金とは原則不可 老齢年金と同時受給OK
受給回数 1回(再就職後に再取得は可能) 何度でも

65歳以上になると自動的に「高年齢求職者給付金」に切り替わるので、自分で選ぶ必要はありません。ただし申請は自分から動かないと始まらないので、その点だけ注意しましょう。

あわせて読みたい サムネイル 失業保険(基本手当)はいくらもらえる?計算方法と申請の流れ 64歳以下の方が対象の失業給付。給付日数・金額の計算方法・手続き手順を解説します。

みんなが気になる Q&A

離職票がないと正式な申請手続きができません。まずは会社に連絡して届く時期を確認してください。離職票が届いたらすぐにハローワークへ向かいましょう。待っている間に受給期限(1年)は経過していくので、できるだけ早めに動くことが大切です。
高年齢求職者給付金は非課税です。給付金を受け取ったからといって、それだけで確定申告が必要になるわけではありません。ただし、年金や他の収入がある場合は、それらの合計によって確定申告が必要になる場合があります。心配な場合は税務署やFPに相談してみてください。
なります。65歳以上で週20時間以上・31日以上の雇用見込みで働いていた人は「高年齢被保険者」として雇用保険に加入します。そのため、パートやアルバイトでも条件(6か月以上加入・失業状態)を満たせば高年齢求職者給付金を受け取れます。
退職したときの年齢が重要です。65歳になる前(64歳以下)に退職した場合は、通常の失業保険(基本手当)が適用されます。高年齢求職者給付金の対象は「65歳以降(正確には64歳最終日以降)に退職した人」です。退職後に65歳の誕生日を迎えても、退職時が65歳前なら対象外になります。
高年齢求職者給付金は「自分が働いて雇用保険に加入していた」ことが前提です。パートナーの扶養に入っているだけでは対象になりません。ただし、扶養に入りながらパート等で週20時間以上働き、高年齢被保険者として雇用保険に加入していれば対象になります。

もっと詳しく知りたいとき(公式の情報)

この記事は一般的なケースをわかりやすくまとめたものです。実際の受給可否・金額・必要書類は、お住まいの地域を管轄するハローワークにご確認ください。

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