業務委託で報酬35万円、源泉徴収されているが申告は必要?

業務委託で報酬35万円、源泉徴収されているが申告は必要?|税金コラム
最終更新日:2026.02.09
このページでわかること

業務委託の報酬35万円で、すでに源泉徴収(天引き)されているとき、 「申告が必要か」「申告すると戻るか」を、判断手順つきで整理します。

  • 結論多くは「税金が増えない」
  • でも重要申告で返金が出ることも
  • 会社員副業のもうけ20万円超で原則必要
  • フリーランス控除後に税金が残るかで決まる

※ ここでは所得税の話を中心にします。住民税は市区町村ごとに手続きが必要になることがあります。

1. まず結論:申告が必要かは「他の収入」と「もうけ」で決まる

業務委託の報酬が35万円でも、申告が必要かどうかは人によって変わります。 ざっくり言うと「1年のもうけ(=報酬 − 仕事のための支出)」と「他の収入」で決まります。

ポイント:源泉徴収は「前払いの税金」です。
税金がゼロまたは少ない人は、申告すると天引き分が戻ることがあります。

あなたの状況 所得税の申告 ひとこと
会社員(年末調整あり)+業務委託 副業のもうけが年20万円超なら原則必要 20万円以下でも、返金目的で出す人は多い
フリーランス(業務委託が主) 控除後に税金が残るなら必要 35万円程度なら税金がゼロになりやすい
申告が不要な人 不要でもOK ただし返金を受けるなら申告が必要

天引き分が戻るかを早めに確認

「源泉徴収されている=返金の可能性あり」です。入力に沿って進めるだけで、必要書類や返金見込みが把握しやすくなります。

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2. まず確認:35万円は「報酬」か「もうけ」か

判断を間違えやすいのが、35万円が何の数字かです。 税金の計算で基本になるのは「報酬」ではなく、もうけです。

「もうけ」=報酬 − 仕事のための支出

たとえば、報酬35万円でも、仕事のための支出(交通費、仕事用の道具、ソフト代など)が5万円あれば、もうけは30万円になります。 逆に、支出がゼロなら、もうけも35万円です。

注意:生活費(家賃や食費など)を「仕事の支出」に入れるのは基本的にNGです。 仕事に必要だったと説明できるものに限ります。

※ 収入の種類(事業・雑)で扱いが変わることがありますが、ここでは「仕事で得たもうけ」として共通部分を説明します。

3. 源泉徴収とは?業務委託でも天引きされる理由

源泉徴収は、支払う側が税金を先に天引きして国に納める仕組みです。 業務委託でも、仕事内容によっては源泉徴収の対象になります。

天引き額の目安(10.21%)

たとえば、一定の報酬・料金(原稿料、講演料、デザイン料など)では、支払金額が100万円以下なら10.21%が天引きされます。

支払金額 天引き(源泉徴収)の計算
100万円以下 支払金額 × 10.21% 35万円なら約35,735円
100万円超 (超えた部分×20.42%)+102,100円 高額案件で段階的に増える

請求書で「報酬」と「消費税」が分かれていない場合、天引きの計算に消費税が含まれる扱いになることがあります。

※ 天引きの対象かどうかは仕事内容で変わります。実際に天引きされているなら、明細や支払調書で「源泉徴収税額」を確認してください。

4. 申告が必要になる主なケース(チェック)

会社員(年末調整あり)の場合

会社員で、給与は年末調整が済んでいる人でも、給与以外の「もうけ」(=報酬から仕事の支出を引いた残り)の合計が年20万円を超えると、原則として所得税の申告が必要です。 取引先が複数なら合計で考えます。

フリーランス(業務委託が主)の場合

1年のもうけから、決められた控除(まずは基礎控除など)を引いて、税金が残るなら申告が必要です。 逆に、税金が残らないなら「申告が必須」ではないことがあります。

注意:所得税の申告が不要でも、住民税の申告が必要になることがあります。 迷う場合は、市区町村に確認してください。

5. 35万円なら所得税がゼロになりやすい理由(基礎控除の見直し)

所得税には「まず引ける控除」として、基礎控除があります。 2025年分(令和7年分)以後は、合計所得の金額により基礎控除が見直されています。

合計所得の目安 基礎控除(所得税)
132万円以下 95万円
132万円超〜336万円以下 88万円
336万円超〜489万円以下 68万円
489万円超〜655万円以下 63万円
655万円超〜2,350万円以下 58万円

※ 合計所得が655万円以下の場合、58万円に加算がつく形です。将来の扱いが変わる可能性もあるため、年分ごとの公式資料で確認してください。

たとえば、他の収入がなく「もうけ」が35万円程度なら、基礎控除だけで税金がゼロになりやすいです。 この場合、源泉徴収で天引きされた税金は、申告すれば戻る可能性があります。

※ 会社員で給与がある場合は、合計所得が大きくなるため、最終的な税金と返金の有無は「全体」を合算して決まります。

6. 申告すると戻るかもしれない:源泉徴収分の返金(還付)

源泉徴収は「先に払った税金」です。 最終的な税金がそれより少なければ、差額が返金(還付)されます。

返金イメージ(例)

報酬35万円がすべて源泉徴収の対象で、天引き率が10.21%だと、天引きは約35,735円です。 もし税金がゼロになるなら、申告でこの天引き分が戻る可能性があります。

申告が不要な人でも、返金を受けるには申告書の提出が必要です。

いつまでに出す?(令和7年分の例)

2025年分(令和7年分)の所得税の確定申告は、2026年2月16日〜3月16日が目安です。 年によって最終日は前後するので、最新の案内も確認してください。

7. 申告のやり方(必要なもの・手順)

まず集めるもの

  • 業務委託の報酬が分かるもの(支払調書、請求書、振込履歴、明細など)
  • 源泉徴収された金額が分かるもの(明細・支払調書の「源泉徴収税額」)
  • 仕事のための支出の記録(領収書、クレカ明細など)
  • 本人確認(マイナンバー等)と、返金を受ける口座
  • 会社員なら給与の源泉徴収票

手順(ざっくり)

  1. 1年分の報酬をまとめる
  2. 仕事の支出をまとめて「もうけ」を出す
  3. 申告書を作って提出する(ネット提出も可)
  4. 返金がある場合は、後日振り込まれる

初めてなら「入力が案内してくれる」方法が早い

返金目的の申告は、入力ミスが少ないほどスムーズです。自動計算や書類作成があるサービスを使うと、迷いどころが減ります。

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最終的な判断は、あなたの収入構成・家族状況・控除で変わります。迷う場合は税務署の案内や専門家に確認してください。

8. よくある質問

Q. 源泉徴収されているなら、申告しなくても大丈夫?

A.源泉徴収は「前払い」なので、申告が必要な人は申告が必要です。また、申告が不要な人でも、天引き分の返金を受けるには申告書の提出が必要になります。

Q. 会社員で副業が20万円以下なら、住民税も何もしなくていい?

A.所得税の申告が不要でも、住民税は市区町村に申告が必要になることがあります。自治体の案内に従ってください。迷う場合は「確定申告を出す」ほうが手続きが一本化しやすいです。

Q. 支払調書が手元にない。申告できる?

A.申告はできます。請求書、振込履歴、取引先からの明細などで「いくら受け取ったか」「いくら天引きされたか」を確認できれば進められます。可能なら取引先に発行状況を確認してください。

Q. 経費って、どこまで入れていい?

A.「その仕事のために必要だった」と説明できる支出が基本です。迷う支出は、領収書を残しつつ、用途メモを付けると整理しやすいです。

Q. 開業届は出さないと申告できない?

A.申告自体は開業届がなくてもできます。ただし、仕事の継続性や帳簿の付け方などで扱いが変わることがあるため、状況により検討してください。

9. 参考(公式資料)

税金は個別事情で変わります。迷う場合は国税庁の案内や税務署、必要に応じて専門家に確認してください。

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