病院代ってバカにならないですよね。入院・手術・通院・薬代…1年間でトータルすると、けっこうな金額になることがあります。
そういう「医療費がかさんだ年」に、払い過ぎた税金の一部を取り戻せるのが「医療費控除」です。
手続きは確定申告(e-Taxでネットからでもできる)で、会社員でも申告できます。
- いくら戻る?(医療費−10万円)× 税率分
- 誰が使える?家族の分も合算できる
- 手続きは?確定申告(e-Tax可)
- 期限は?5年さかのぼれる
- 上限は?控除額は最大200万円
- 会社員でも?はい、年末調整とは別に申告
注意:市販薬の購入額で使える別制度(セルフメディケーション税制)とは、同じ年分は選択式です。両方は使えません。どちらが得か、あとで説明します。
セルフメディケーション税制ってなに?市販薬で税金が戻るしくみ
医療費控除の特例として使える制度。年間の医療費が少なくてもOKな場合がある。
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そもそも、なぜ医療費控除があるの?
病気やケガって、自分では選べませんよね。突然の入院、長引く治療…医療費は「いつどれだけかかるか」がまったく予測できません。
ふだんの病院では、窓口で払うのは3割ですよね。でも、それでも手術や長期入院になると自己負担は何十万円にもなることがあります。
そういう「医療費が想定外にかさんだ家庭」に対して、税金の負担を少し軽くしてあげようというのが医療費控除の考え方です。
医療費控除のしくみ(イメージ)
「医療費控除」は「払った医療費がそのまま返ってくる」わけではありません。「医療費の分だけ、稼いでいなかったことにしてくれる」しくみです。実際に戻ってくる金額は、自分の税率によって変わります。
税金がどれくらい戻るの? 計算方法は?
基本の計算式はこれ
まず「控除額」を計算します。
控除額 = [1年間に払った医療費の合計] − [保険などで戻ってきたお金] − [10万円(※)]
※ その年の収入が200万円未満の場合は、10万円のかわりに「収入の5%」を引きます。
「控除額がわかった」あとは、この控除額に自分の税率をかけた分が、実際に戻ってくる税金の目安です。
戻ってくる税金の目安 = 控除額 × 税率(所得税+住民税の合計)
税率は人によって違います。所得税だけで5%〜45%、住民税は一律10%なので、合計すると15%〜55%の範囲になります。会社員なら源泉徴収票の「所得控除後の所得」を見るとだいたいわかります。
具体例①:医療費25万円・収入500万円の場合
保険の給付金などはなかったとします。
- 医療費の合計:250,000円
- 保険などで補てんされた金額:0円
- 収入が200万円以上なので、引く額は10万円
控除額 = 250,000円 − 0円 − 100,000円 = 150,000円
税率が20%(所得税10%+住民税10%)なら → 約3万円が戻るイメージ
具体例②:医療費60万円・保険給付金15万円の場合
- 医療費の合計:600,000円
- 保険などで補てんされた金額:150,000円
- 収入が200万円以上なので、引く額は10万円
控除額 = 600,000円 − 150,000円 − 100,000円 = 350,000円
税率が20%なら → 約7万円が戻るイメージ
「保険などで補てんされた金額」には、高額療養費・入院給付金・出産育児一時金なども含まれます。もらったお金は差し引いてから計算するので注意してください。
医療費の計算、手作業でやると意外と大変です。家計簿アプリやクラウド確定申告ソフトを使うと、医療費を自動集計して「医療費控除の明細書」形式で出力してくれるものもあります。マネーフォワード クラウド確定申告なら医療費の入力もサポートしてくれます(無料プランあり)。
何が対象になるの? 何はならないの?
ポイントはシンプルで、「治療が目的かどうか」です。
対象になるもの(代表例)
- 医師・歯科医師への診察代・治療費
- 入院費(入院基本料、食事代など)
- 手術費・検査費(治療につながったもの)
- 処方された薬代、治療目的の市販薬
- 虫歯の治療、入れ歯・義歯、治療としての歯列矯正
- 通院の交通費(電車・バスなどの公共交通機関)
- 人間ドック・健診代(重大な病気が見つかって、その後治療した場合)
- 出産費用・助産師の分娩介助料
- 一定の介護サービス費・訪問看護費
対象にならないもの(代表例)
- 美容目的の施術(美容整形、ホワイトニングなど)
- 予防目的のサプリメント・健康食品
- 自家用車のガソリン代・駐車場代
- 病院選びで使った差額ベッド代(本人の都合による場合)
- 医師の指示なしの人間ドック(異常なし・治療につながらなかった場合)
- 疲労回復目的の栄養ドリンク
- 美容目的の歯の矯正、歯石除去のみのクリーニング
「治療のため」か「美容・予防・日常」かが判断の境界線です。同じ人間ドックでも「受けたら病気が見つかってそのまま治療した」なら対象、「受けたけど異常なしで終わった」なら対象外、という感じです。迷ったときは領収書を保管しておいて、確定申告のときに税務署や税理士に確認するのが一番安全です。
医療費控除の対象・対象外 よくある迷いケース一覧
歯科・交通費・マッサージなど、判断が分かれやすい費用をまとめて解説。
誰の分まで申告できるの?
自分の分だけでなく、「生計を一にする」家族の医療費も合算できます。
たとえば、「子どもの歯列矯正(治療目的)」「親の入院費」「配偶者の手術代」もまとめて合算できます。家族全員分を集めてから計算しましょう。誰がまとめて申告するかは家族で相談して、一番税金が戻りやすい人が申告するのがポイントです(税率が高い人ほど戻る金額が多くなります)。
どうやって申請するの? 難しい?
医療費控除は、確定申告で申請します。会社員でも年末調整だけでは申請できないので、別途申告が必要です。
申告の流れ
「自分の健康保険の窓口」ってどこ?
会社で働いている人 → 確定申告は税務署へ。医療費の確認は保険証を見ると「○○健康保険組合」や「全国健康保険協会(協会けんぽ)」と書いてある。
自営業・フリーランス → 確定申告は税務署へ。毎年やっているはず。
専業主婦・専業主夫 → 配偶者が申告するか、自分の収入に税金がかかっていれば自分でも申告できる。
期限を過ぎたら?
「還付申告」(税金が戻るだけの申告)は、5年間さかのぼって申告できます。「去年・一昨年の分を忘れてた!」という場合でも、まだ間に合う可能性が高いです。早めに確認してみましょう。
確定申告ソフト
「確定申告、難しそう…」と思ったら、ソフトを使うのが一番ラク
クラウド確定申告ソフトを使うと、医療費控除の入力ガイドが付いていて、計算ミスや入力漏れを自動でチェックしてくれます。手書き不要で、そのままe-Tax送信まで完結します。
- 医療費控除の計算・入力をサポート
- レシート撮影で自動入力できるものも
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こういうときどうなの?(よくあるケース)
会社員でも確定申告が必要なの?
はい、必要です。会社の年末調整では医療費控除を申請できないので、自分で確定申告します。初めての場合はe-Taxの「確定申告書等作成コーナー」の画面に沿って入力するだけなので、意外と難しくないです。ポイントは「医療費控除の明細書」を一緒に提出することです。
医療費が10万円に足りなかったら?
通常の医療費控除は使えません。ただし、その年の収入が200万円未満なら「収入の5%」を基準にするので、10万円より少なくても申告できることがあります。また、年間12,000円以上の対象OTC医薬品(スイッチOTC)を買っている場合は「セルフメディケーション税制」が使える可能性があります。
出産育児一時金をもらった年の医療費は?
出産育児一時金(最大50万円)は「医療費の補てんを目的としたお金」なので、もらった分は医療費から差し引いて計算します。たとえば出産費用が55万円で一時金が50万円なら、差し引き後は5万円が医療費として使える計算です。一時金が出産費用を上回った場合は、その超えた分を他の医療費から引く必要はありません。
あわせて読みたい
出産でもらえる50万円って何?どうやって受け取るの?
出産育児一時金のしくみ・もらえる条件・手続きをわかりやすく解説。
高額療養費をもらった年の医療費は?
高額療養費(月の自己負担が限度額を超えた分が戻ってくる制度)も「補てん金」として差し引きます。まず高額療養費を差し引いた後の実質自己負担額が医療費控除の計算のベースになります。2つの制度は別物なので、両方使えることが多いです。
「セルフメディケーション税制」や「高額療養費」とは違うの?
名前が似ていたり、一緒に使えるものとそうでないものがあります。整理するとこういう関係です。
医療費まわりの制度マップ
「セルフメディケーション税制」は選択制なので、どちらが得か計算してから決めましょう。年間の医療費合計が多い(家族分含め10万円を大きく超える)なら通常の医療費控除、医療費は少ないが対象の市販薬を多く買っているなら、セルフメディケーション税制が有利になりやすいです。
高額療養費の詳しいしくみや計算方法は別の記事で解説しています。
あわせて読みたい
高額療養費制度って何?月の医療費に上限があるの?
入院・手術で自己負担が高くなったとき、限度額を超えた分が戻るしくみをわかりやすく解説。
みんなが気になる Q&A
A.確定申告に領収書を提出する必要はありません(原則として「医療費控除の明細書」の提出だけでOK)。ただし、確認を求められたときのために確定申告期限から5年間は自宅で保管してください。健康保険組合から届く「医療費のお知らせ」を使えば、一部の明細書作成を省略できることもあります。
A.バスや電車などの公共交通機関の交通費は対象です。タクシーは「やむを得ない事情がある場合」(骨折で歩けないなど)に限られます。自家用車のガソリン代・駐車場代は対象外です。日付・区間・金額のメモを残しておくと申告のときに役立ちます。
A.はい、「医療費の補てんを目的としたお金」はその医療費から差し引いて計算します。たとえば入院給付金をもらった場合、その入院にかかった費用からそのお金を引いた差額が医療費になります。「その費用を超えた分を他の医療費から引く」必要はありません。
A.税金が戻ってくるだけの申告(還付申告)は、5年間さかのぼれます。2024年分なら2029年まで申告できます。「去年・一昨年の分を忘れてた」という方も、まだ間に合う可能性が高いのでぜひ確認してみてください。
A.帝王切開は「手術」なので、ふつうの医療費控除の対象です。さらに高額療養費制度も使える可能性があります。出産育児一時金と高額療養費を差し引いた残りの実質自己負担分が医療費控除の計算ベースになります。
A.e-Taxで申告した場合、申告後3週間〜1か月程度が目安です(処理状況はe-Taxのマイページで確認できます)。書面で郵送した場合は1〜2か月かかることがあります。申告が混む2月中旬〜3月中旬を避けてe-Taxで申告すると比較的早く処理されます。
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もっと詳しく知りたいとき(公式の情報)
この記事はわかりやすさを優先して、細かいルールを省略している部分があります。最終的に正確な情報は、以下の公式サイトや、あなたが加入している健康保険の窓口・税務署で確認してください。
- 国税庁:医療費を支払ったとき(医療費控除)
- 国税庁:医療費控除に関する手続について(明細書・領収書保存)
- 国税庁:セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)
- 国税庁:確定申告書等作成コーナー(e-Tax)
- 厚生労働省:高額療養費制度について
この記事は一般的なケースをわかりやすくまとめたものです。最終的な判断・必要書類は、あなたが入っている健康保険の案内や税務署の指示が基準になります。



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