基礎控除って何?所得控除の全体像をわかりやすく【2025年改正対応】

基礎控除って何?所得控除の全体像をわかりやすく【2025年改正対応】
最終更新日:2026.03.26
ざっくり言うと

毎年12月になると「年末調整の書類」が会社から届きますよね。
あの書類で記入する「基礎控除」や「扶養控除」のことを、まとめて「所得控除」と呼びます。
これを多く使えば使うほど、税金が安くなる仕組みです。
2025年の税制改正で基礎控除が大幅に引き上げられたので、使わないともったいない制度です。

  • 所得控除って?税金の計算前に所得から引ける金額
  • 種類は?2025年から全部で16種類
  • 基礎控除は?2025年から最大95万円(改正前48万円)
  • 手続きは?会社員は年末調整/個人事業主は確定申告
  • 103万円の壁は?2025年から「160万円の壁」に引き上げ
  • 住民税は?基礎控除43万円のまま変わらず

注意:2025年の基礎控除引き上げは「所得税」が対象です。住民税の基礎控除は43万円のまま変わっていません。また、2025年〜2026年の上乗せは時限措置で、2027年以降は基礎控除が一部変わります。

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そもそも、なんで「所得から引く」なんて仕組みがあるの?

同じ年収500万円でも、一人暮らしで健康な人と、子どもが3人いてお父さんの介護もしている人では、生活の余裕はぜんぜん違いますよね。

それなのに「同じ収入なら同じ税金」にしてしまったら、不公平です。

そこで国は、「家族の状況や支出の内容によって、税金の計算に使う所得を小さくしていいですよ」というルールを作りました。これが所得控除のしくみです。

収入(給与・年金・事業 など) 「もらった金額」の合計 給与所得控除・公的年金等控除など (収入の種類ごとに差し引く控除) = 所得(給与所得・雑所得 など) ↓ ここからさらに所得控除を引く 所得控除(基礎控除・医療費控除 など16種類)

税金の計算は「収入 → 所得 → 課税所得」の順に進む

ざっくり言うと、「所得控除が多いほど、課税所得が小さくなり、税金が安くなる」ということです。
この「課税所得」に税率をかけたものが、最終的に払う所得税の金額になります。

所得控除って、全部でいくつあるの?

2025年から全部で16種類あります。2025年に「特定親族特別控除」が新設されて1つ増えました。

大きく2種類に分けられます。

人的控除(家族の状況によって変わる)

自分や家族の状況に応じて使える控除です。年末調整の書類で記入するのは、主にこのグループです。

  • 基礎控除:所得が一定以下なら誰でも使える(2025年から最大95万円)
  • 配偶者控除:配偶者の年収が一定以下のとき
  • 配偶者特別控除:配偶者の年収が少し高めのとき(段階的に控除)
  • 扶養控除:16歳以上の子・親などを養っているとき
  • 特定親族特別控除:19〜22歳の子がアルバイトで稼いでいるとき(2025年新設)
  • 障害者控除:自分や家族が障害者のとき
  • ひとり親控除:ひとり親家庭のとき
  • 寡婦控除:離婚・死別後に再婚していない女性のとき
  • 勤労学生控除:働きながら学校に通っている学生のとき

物的控除(支払った費用によって変わる)

実際に支払ったお金の内容によって使える控除です。

  • 社会保険料控除:国民健康保険・国民年金などを払っているとき
  • 小規模企業共済等掛金控除:iDeCoやDC(企業型年金)の掛金があるとき
  • 生命保険料控除:生命保険・個人年金・医療保険に加入しているとき
  • 地震保険料控除:地震保険に加入しているとき
  • 医療費控除:その年の医療費が多かったとき(確定申告が必要)
  • 寄附金控除:ふるさと納税・特定の寄付をしたとき(確定申告が必要)
  • 雑損控除:災害・盗難などで資産に損害が出たとき(確定申告が必要)

会社員の場合、医療費控除・寄附金控除・雑損控除の3つは年末調整では使えず、確定申告が必要です。「ふるさと納税は年末調整でできない」と覚えておくと便利です(ワンストップ特例制度を使えば申告不要になります)。

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基礎控除って何?2025年から変わったってほんと?

基礎控除は、所得が一定以下なら誰でも使える控除です。家族構成や職業は関係ありません。

2025年の税制改正で、この基礎控除が大きく変わりました。改正前は最大48万円(一律)でしたが、2025年からは所得の金額に応じて最大95万円まで引き上げられたんです。

基礎控除額(所得税・2025年〜) 合計所得金額 控除額 132万円以下 95万円 132万円超〜336万円以下 88万円 ※ 336万円超〜489万円以下 68万円 ※ 489万円超〜655万円以下 63万円 ※ 655万円超〜2,350万円以下 58万円 2,350万円超〜2,500万円以下 48万〜16万円(段階的に減額) 2,500万円超 0円(対象外) ※印は2025〜2026年の時限措置。2027年以降は一律58万円

出典:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」をもとに作成

「合計所得金額132万円以下」とは、給与収入だけの場合だと年収200万円程度以下のイメージです(給与所得控除65万円を引いた後の金額なので)。
年収500万円なら所得はだいたい346万円前後なので、63〜68万円の控除が使えます。2024年以前(48万円)より大幅アップです。

「103万円の壁」が「160万円の壁」になったって本当?

2025年の改正でよく話題になったのが「103万円の壁」の引き上げです。

もともと「年収103万円以内なら所得税ゼロ」とされていたのは、こういう計算でした。

  • 給与所得控除(最低保障):55万円
  • 基礎控除:48万円
  • 合計:103万円 → これ以下なら課税所得ゼロ

2025年の改正で、これが次のように変わりました。

  • 給与所得控除(最低保障):65万円(55万円→65万円に引き上げ)
  • 基礎控除:95万円(48万円→最大95万円に引き上げ)
  • 合計:160万円 → これ以下なら所得税ゼロ(給与のみの場合)

注意:「160万円まで所得税ゼロ」は所得税だけの話です。社会保険(扶養の壁)は別のルールで判断します。「160万円まで働いても大丈夫」と単純に考えると、社会保険の扶養を外れる可能性があるので注意が必要です。

住民税の基礎控除は変わらないの?

住民税の基礎控除は43万円のまま据え置きです。所得税の基礎控除引き上げは住民税には適用されません。

そのため、所得税はかからなくても住民税が発生するケースがあります。「所得税がゼロだから住民税もゼロ」とは限らないので注意してください。

課税所得ってどうやって計算するの?実例で確認しよう

税金の元になる「課税所得」は、次の順番で計算します。

1
収入から「給与所得控除」を引いて「給与所得」を出す

会社員の場合、給与収入から仕事のコストとして一定額を引けます。これが給与所得控除です。年収500万円なら144万円引けて、給与所得は356万円になります。

2
給与所得から「所得控除の合計」を引いて「課税所得」を出す

基礎控除・社会保険料控除・生命保険料控除など、自分に使える控除をすべて足します。それを給与所得から引いた残りが課税所得です。

3
課税所得に税率をかけて「所得税額」を出す

課税所得が195万円以下なら税率5%、195〜330万円なら10%…という累進税率がかかります。

計算例:年収500万円・独身・社会保険料70万円の会社員

  • 給与収入:500万円
  • 給与所得控除:144万円 → 給与所得:356万円
  • 基礎控除:63万円(所得356万円は489万円以下のゾーン)
  • 社会保険料控除:70万円
  • 生命保険料控除(例):4万円
  • 所得控除の合計:137万円
  • 課税所得:356万円 − 137万円 = 219万円
  • 所得税(概算):課税所得219万円 × 10% − 9.75万円 = 約12万円
2024年以前(基礎控除48万円)と比べると、基礎控除が15万円増えた分だけ課税所得が小さくなります。税率10%のゾーンなら、約1.5万円の節税効果がある計算です。

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確定申告ツールを使えば、源泉徴収票・医療費・生命保険料などを入力するだけで、使える控除を自動計算。還付見込みも数字ですぐわかります。

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年末調整と確定申告、どっちでやるの?

自分がどちらで手続きするかは、働き方によって変わります。

会社員・パートの場合 → 年末調整

会社に書類を出せば、会社が代わりに計算してくれます。自分でやることは多くありません。

ただし次の3つは年末調整ではできないので、確定申告が必要です。

  • 医療費控除(年間10万円を超えた医療費がある場合)
  • 寄附金控除(ふるさと納税でワンストップ特例を使わなかった場合)
  • 雑損控除(台風・火災・盗難などで損害が出た場合)

個人事業主・フリーランスの場合 → 確定申告

すべての所得控除を自分で申告します。毎年2月〜3月に確定申告書を税務署(またはe-Tax)に提出します。

会社員でも「医療費が多い年」「大きな寄付をした年」は、年末調整のあとに確定申告をすることで還付が出る可能性があります。
「年末調整をしたからもう終わり」ではなく、確定申告で取り戻せる税金がないか確認してみましょう。

あわせて読みたい サムネイル ふるさと納税のしくみ・寄附金控除の計算方法 「ワンストップ特例か確定申告か」の判断方法もわかりやすく解説。

iDeCoって、所得控除と関係あるの?

iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入すると、掛金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除になります。これが、iDeCoが「節税になる」と言われる理由です。

たとえば毎月2万円(年24万円)iDeCoに積み立てると、その24万円が丸ごと所得から引けます。税率10%のゾーンなら年間2.4万円の節税になります。

iDeCoは節税しながら老後のお金を積み立てられる制度です。ただし60歳になるまで原則引き出せないので、生活費に余裕がある分だけ積み立てるのが基本です。
掛金の上限額は職業(会社員・公務員・自営業者など)によって違います。

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みんなが気になる Q&A

Q. 2025年の改正で、自動的に控除が増えるの?手続きはいる?

A.会社員の場合、2025年12月の年末調整から自動的に新しい基礎控除額で計算されます。ただし、特定親族特別控除(19〜22歳の子が対象)の適用には、申告書への記入が別途必要です。個人事業主は2026年2〜3月の確定申告(2025年分)から新しい金額が適用されます。

Q. 配偶者の「103万円の壁」も160万円になったの?

A.2025年からは、配偶者(妻・夫)の年収が123万円以下なら配偶者控除が使えるようになりました(改正前は103万円以下)。ただし「社会保険の扶養」のライン(106万円・130万円など)は別のルールなので、混同しないよう注意が必要です。

Q. 副業収入があると、基礎控除の金額は変わるの?

A.基礎控除の金額は「合計所得金額」で判定します。給与所得+副業の所得(事業所得や雑所得など)をすべて合算した金額で区分が決まります。副業で所得が大きく増えると、控除額が下がる区分になることがあります。

Q. 2027年以降は基礎控除が下がるって本当?

A.2025年・2026年の基礎控除引き上げ(88万円・68万円・63万円など)は時限措置です。2027年以降は、合計所得655万円以下の区分が「一律58万円」になる予定です。ただし合計所得132万円以下の95万円は引き続き適用される見込みです(2025年3月時点の制度。今後変更の可能性もあります)。

Q. 所得控除と税額控除って何が違うの?

A.所得控除は「課税所得(税金の計算のもと)を減らす」もので、税額控除は「計算後の税額から直接引く」ものです。住宅ローン控除は「税額控除」なので節税効果が高い制度として有名です。同じ「控除」という名前でも、計算のしくみが違います。

本ページは一般的な情報提供を目的としたものです。個別の税務判断・申告の最終確認は、国税庁・お住まいの市区町村、または税理士等の専門家にお問い合わせください。

もっと詳しく知りたいとき(公式の情報)

この記事はわかりやすさを優先して、細かいルールを省略している部分があります。正確な情報は以下の公式サイトで確認してください。

この記事は2026年3月時点の制度をもとに作成しています。税制は改正されることがあるため、最新の情報は国税庁または専門家にご確認ください。

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