親や家族が介護保険サービスを使うと、毎月の自己負担がけっこう大きくなることがありますよね。
その月の自己負担の合計が一定の上限額を超えたとき、超えた分が払い戻される制度があります。
これが「高額介護サービス費」です。
- 仕組みは?上限超過分が払い戻される
- 上限は?所得によって月1.5〜14万円
- 家族2人分は?世帯合算で判定
- 申請は?初回のみ→以後は自動振込が多い
- 申請期限は?利用月の翌月1日から2年
- 食費・居住費は?原則、対象外(別制度あり)
注意:「高額療養費(医療)」「負担限度額認定(補足給付)」とは対象費用・単位がそれぞれ異なります。似た名前で混乱しやすいので、後半の「他の制度との違い」で整理します。
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そもそも、なんでこんな制度があるの?
介護保険サービスを使うときの自己負担は、原則1割です(所得によっては2割・3割)。
「たった1割なら安くない?」と思うかもしれないですが、介護が必要になると毎日のようにサービスを使います。1割でも積み重なると、月に数万円〜10万円以上になることがあるんです。
「介護保険料を払ってきたのに、利用するとこんなに自己負担がかかるの?」ということにならないよう、一定の上限を超えた分は返しましょう、というのがこの制度です。
上限超過分が払い戻される仕組み
つまり、「介護保険の自己負担には月ごとの天井がある」と覚えておけばOKです。天井を超えた分は、申請すれば戻ってきます。申請していないと自動では戻らないので(初回は特に注意)、忘れずに手続きしましょう。
上限はいくらなの? 所得でどう変わる?
上限額は世帯の所得区分によって変わります。2025年時点の目安は次のとおりです。
| どんな世帯? | 月の上限額 | 単位 |
|---|---|---|
| 課税所得690万円(年収目安約1,160万円)以上の65歳以上がいる世帯 | 140,100円 | 世帯 |
| 課税所得380万円(年収目安約770万円)以上〜690万円未満の65歳以上がいる世帯 | 93,000円 | 世帯 |
| 市区町村民税がかかっている世帯(上記以外) | 44,400円 | 世帯 |
| 市区町村民税がかかっていない世帯(非課税世帯) | 24,600円 | 世帯 |
| 非課税世帯で、合計所得+課税年金収入が80万円以下など(低所得) | 15,000円 | 個人 |
| 生活保護を受けている方 | 15,000円 | 個人 |
※自治体によって「93,100円」と記載している場合があります。端数処理の都合のため、最終的には自治体の案内で確認してください。
「うちの親、どの区分になるの?」と思ったら、住民税がかかっているかどうかを基準に考えてみてください。多くの年金受給者の世帯は「非課税世帯」か「一般課税世帯(上限44,400円)」に当てはまります。詳しくはお住まいの市区町村の窓口に聞くとスッキリします。
どの費用が対象なの? 食費・居住費は戻ってくる?
「介護費用すべてが上限内に収まる」と思いがちですが、対象になるのは介護保険サービスの自己負担だけです。
対象になる費用
- ホームヘルプ・デイサービス・訪問看護などの介護保険サービスの自己負担(1〜3割)
- 同じ月に複数のサービスを使った場合の合計(世帯内で複数の人が使っている場合は世帯合算)
対象外になりやすい費用
- 施設入所の食費・居住費(滞在費)や日常生活費(実費扱いのため)
- 福祉用具購入費・住宅改修費(別の給付枠)
- 支給限度基準額を超えて利用したサービスの費用(全額自己負担になりやすい)
- 介護保険の外で使う自費サービス(家事代行・見守りなど)
よくある誤解:「施設に入ったら月の費用が上限額で止まる」と思っている方が多いですが、それは正しくないです。上限が効くのはあくまで介護保険の自己負担分だけ。食費・居住費は月に数万〜十数万円かかることがあり、こちらは別制度(負担限度額認定)で対処します。
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公的介護保険だけで足りる? 民間の介護保険も比較してみよう
高額介護サービス費があっても、食費・居住費などは自己負担のまま。施設入所なら月10〜30万円以上かかることも。「もし自分が介護状態になったら?」と気になり始めたら、民間の介護保険も一度チェックしてみましょう。
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家族2人分が対象になるって本当? 世帯合算の計算例
同じ住民票の世帯に介護保険を使っている人が2人以上いる場合、それぞれの自己負担を合計してから世帯の上限と比べるのがルールです。
超過分が出たら「それぞれの自己負担の割合で按分(比例配分)」して、それぞれの口座に振り込まれます。
ざっくりイメージ:
世帯の自己負担合計 − 世帯の上限 = 超過分
各人の支給額 = 超過分 ×(その人の自己負担 ÷ 世帯の自己負担合計)
例①:1人暮らし(課税世帯・上限44,400円)
1か月の介護保険自己負担が50,000円だった場合:
50,000円 − 44,400円 = 5,600円が払い戻し(目安)
例②:夫婦2人(非課税世帯・世帯上限24,600円)
夫20,000円/妻10,000円(世帯合計30,000円)の場合:
世帯超過分は 30,000円 − 24,600円 = 5,400円。
夫の支給額:5,400円 × (20,000÷30,000) = 3,600円
妻の支給額:5,400円 × (10,000÷30,000) = 1,800円(目安)
申請ってどうやるの? 面倒じゃない?
結論を先に言うと、初回だけ申請すれば、あとは自動振込になる自治体がほとんどです。
初回申請の流れ
申請に必要なもの(例)
- 高額介護サービス費支給申請書(自治体から届く)
- 介護保険被保険者証
- 振込先口座がわかるもの(通帳など)
- 本人確認書類・個人番号確認(自治体の指示に従う)
- 代理申請の場合は委任状(必要な自治体あり)
「うっかり案内を見逃した」「気づかなかった」という場合も、2年以内なら後から申請できます(申請期限は次のセクションで説明)。もしすでに何か月分か申請していなかったなら、まとめて申請できる場合があるので、市区町村に問い合わせてみてください。
申請期限はあるの? いつまでに手続きすればいい?
高額介護サービス費には時効があります。一般に、介護サービスを受けた月の翌月1日から2年間が申請できる期限です。これを過ぎると、支給されないことがあります。
自治体によっては「領収日(支払日)の翌日から2年」と案内している場合もあります。
気をつけて:「いつか申請しよう」と後回しにしていると、気づいたときには時効になっていたというケースがあります。案内が届いたら早めに手続きするのが安心です。
「高額療養費」や「負担限度額認定」とは何が違うの?
似た名前・似た目的の制度が3つあります。それぞれ対象になる費用と単位が全く違うのがポイントです。
介護まわりの制度マップ
高額療養費(医療保険)
「病院の診療・薬代」などの医療費が高額になったときの制度です。介護保険のサービス利用料は対象外なので、介護費の軽減はこちらではなく高額介護サービス費で対処します。
負担限度額認定(補足給付/特定入所者介護サービス費)
施設入所で大きくなりやすい食費・居住費を軽減する制度です。所得・預貯金等の要件を満たす場合に利用できます。高額介護サービス費が手が届かない「食費・居住費」部分をカバーする、セットで活用すべき制度です。
高額医療・高額介護合算(年単位)
毎月の上限(高額療養費・高額介護サービス費)を適用してもなお、8月〜翌年7月の1年間で医療+介護の自己負担が高額になった場合に、合算して上限超過分が支給される制度です。両方使っているご家庭は検討してみてください。
あわせて読みたい サムネイル 施設の食費・居住費を減らす「負担限度額認定」ってなに? 所得・資産の要件を満たせば、施設の食費・居住費の自己負担が大幅に減ります。みんなが気になるQ&A
A.はい、対象になります。自己負担割合(1割/2割/3割)にかかわらず、その月の自己負担合計が上限を超えれば、超えた分が支給対象になります。負担割合が高いほど上限を超えやすいので、2割・3割負担の方はぜひ確認してみてください。
A.ほとんどの自治体では初回申請が必要です。口座を登録すると、次回以降は申請不要で自動振込(自動償還)になるのが一般的です。初回の案内が来たら必ず手続きしましょう。
A.原則として対象外です。施設の食費・居住費は「負担限度額認定(補足給付)」という別の制度で軽減できる場合があります。所得・資産の要件があるので、まず市区町村に相談してみてください。
A.自治体によって異なりますが、サービス利用月から2〜4か月後を目安に案内が届き、申請後に振込となることが多いです。自動償還になっている場合もタイミングは自治体の事務スケジュール次第です。
A.戻らないのが一般的です。限度基準額を超えて使った分は全額自己負担になりやすく、高額介護サービス費の対象になりません。ケアプランの段階で限度基準額の範囲内に収めるかどうかを確認しておくと安心です。
もっと詳しく知りたいとき(公式の情報)
- 厚生労働省「介護保険の解説:サービスにかかる利用料」
- 厚生労働省「高額医療・高額介護合算療養費制度について」
- 厚生労働省(PDF)「高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」
- 厚生労働省(PDF)「特定入所者介護サービス費(補足給付)の居住費負担限度額の見直し(令和6年8月〜)」
上限額や対象範囲、申請運用は改定・自治体運用によって変わります。最終的には「お住まいの市区町村」の案内で確認してください。

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