病気やけがで、仕事はもちろん日常生活にも大きな支障が出てしまったとき、収入が途絶えるリスクがあります。
そのリスクに備えるために、国民年金から毎年80万円前後(2級の場合)が受け取れる制度があります。
これが「障害基礎年金」です。
- いくら?年額約83万円(2級)〜約104万円(1級)
- 誰が?国民年金に入っていた人・20歳前に障害を持った人
- 等級は?1級・2級(病名ではなく生活への影響で決まる)
- 障害者手帳と違う?別の制度。手帳がなくてももらえることがある
- 税金は?所得税・住民税ともにかからない(非課税)
- 会社員なら?障害厚生年金も上乗せされる可能性あり
注意:障害者手帳の等級と障害年金の等級は別の制度で、認定基準もまったく異なります。手帳を持っていなくても障害年金を受け取れることがありますし、手帳があっても年金の要件を満たさないこともあります。
傷病手当金ってなに?休職中のお金のはなし
病気・けがで休職したときにもらえる給与補填のしくみ。最長1年6か月の間もらえます。
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そもそも、なぜ「障害基礎年金」という制度があるの?
ふだん私たちは、働いて収入を得て生活しています。でも、病気やけがで長期間働けなくなったら、どうなるでしょう?
傷病手当金(健康保険)は最長1年6か月しかもらえません。その後、障害が続いているのに収入がゼロになってしまう人が出てきます。
そこで、「障害が固定した後も、長期的に生活を支えるお金が必要だよね」という考えから作られたのが障害基礎年金です。年金という名前のとおり、条件を満たす限り年齢の上限なく毎年受け取れる制度です。
傷病手当金が終わった後の「空白」を埋める制度
つまり、「長期的に働けなくなっても生活できるよう、年金として定期的にお金を出す」というのがこの制度の目的です。一度きりの給付ではなく、状態が続く限り毎年受け取れるのがポイントです。
実際、いくらもらえるの?
2025年度(令和7年度)の金額は次のとおりです。「等級」によって金額が変わります。
基本の年金額(令和7年4月〜)
- 1級の場合:年額 約103万〜104万円(月額約8.6万円)
- 2級の場合:年額 約83万〜83.2万円(月額約6.9万円)
金額は、生まれた年や物価の動向によってわずかに異なります。また毎年度改定されるため、実際に受け取るときの金額は日本年金機構の公式サイトで確認してください。
「1級と2級」の違いは日常生活への支障の大きさで決まります。病名ではありません。同じ病気でも、症状の重さによって等級が違うことがあります(等級の詳細は次のセクションで解説します)。
子どもがいるともらえる「子の加算」
受給者に生計を同じくする子ども(18歳になった年度末まで、または一定の障害のある20歳未満の子)がいる場合、年金に加算があります。
- 1人目・2人目の子:1人につき年額 約23.9万円を加算
- 3人目以降:1人につき年額 約8万円を加算
例)2級で子ども2人がいる場合の年間受取額:
83万円 + 23.9万円 × 2 = 約131万円(年額)
さらに「障害年金生活者支援給付金」も上乗せされることがある
前年の所得が一定額以下の場合、月額5,450円(2級)または6,813円(1級)の給付金が別途上乗せされます。こちらも所得税がかかりません。
誰がもらえるの? 条件はあるの?
条件は大きく3つあります。全部満たしている必要があります。
- 国民年金に加入していた(自営業・学生・フリーランスなど)
- 会社員で厚生年金に入っていた(→ この場合は障害厚生年金も受け取れる可能性あり)
- 20歳前で年金未加入だった(先天性の障害や学生時代の初診など)
- 60〜65歳で国内に住んでいて年金未加入だった
「3分の2以上」というのが曖昧でわかりにくいですよね。ざっくり言うと、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で未納期間が多くないか確認するのが一番手っ取り早いです。未納が多い場合でも「直近1年未納なし」の特例で救われるケースがあります。
逆に、もらえないのはどんなとき?
- 初診日に年金制度にまったく入っていなかった(ただし20歳前・60〜65歳の特例あり)
- 保険料の未納が多く、3分の2要件も直近1年特例も満たしていない
- 障害の程度が1級・2級に達していない(3級は障害厚生年金のみ対象)
「自分がもらえるかどうか」は、初診日や未納状況によってかなり変わります。迷ったら、年金事務所か市区町村の窓口で相談するのが確実です。
障害の等級ってどう決まるの? 1級と2級の違いは?
障害年金の等級は、病名ではなく「日常生活にどれくらい支障があるか」で判断されます。同じ病気でも、症状の重さによって等級が変わります。
1級と2級のイメージ
-
1級:他人の介助がなければ、身の回りのことがほとんどできない状態。
食事・着替え・排せつなどの日常生活の大部分に常時介助が必要で、活動範囲がベッド周辺に限られるようなイメージ。 -
2級:常時の介助は必ずしも必要ではないが、日常生活が著しく制限される状態。
家の中での軽い家事などはできるが、それ以上の活動が困難で、外出や継続的な就労が難しいイメージ。
注意:「フルタイムで働けていても2級に認定される」こともあれば、「働けていないのに等級に達しない」こともあります。判断は総合的なもので、就労状況・日常生活での介助の有無・頻度なども考慮されます。
「自分の状態が何級に当たるか」は、主治医に書いてもらう診断書の内容が非常に重要です。主治医が日常生活の様子をどこまで把握しているかで、認定結果が変わることがあります。申請前に、日常生活での困りごとを主治医に詳しく伝えておきましょう。
「自分の状態が何級に当たるのか判断できない」という方は、社会保険労務士への相談が有効です。障害年金の申請支援を専門とする社会保険労務士に無料で相談できるサービスもあります。
どうやって申請するの? 手続きは面倒?
正直、他の給付に比べると申請の手間は多めです。ただ、大まかな流れを知っておくと、何から始めればいいかが見えてきます。
申請の大まかな流れ
障害基礎年金の申請の流れ(大まかなイメージ)
一番大事なのは、「まず窓口で相談すること」です。必要書類は状況によってかなり違うため、自己判断でそろえ始めるより、先に確認した方が効率的です。年金事務所は予約制のところも多いので、電話で予約してから行きましょう。
申請ってどこに何を出せばいいの?
どこに出す?
初診日の時点の加入状況によって、提出先が異なります。
自営業・フリーランス・学生(国民年金第1号)だった人
→ 住んでいる市区町村の年金窓口
会社員(厚生年金加入中)だった人・専業主婦など(第3号)
→ 最寄りの年金事務所または「街角の年金相談センター」
20歳前に初診日がある人
→ 市区町村または年金事務所(どちらでも可)
主な必要書類
- 障害年金請求書(障害基礎年金用)
- 診断書(障害認定日用)
- 受診状況等証明書(初診日を証明する書類)
- 病歴・就労状況等申立書
- 基礎年金番号がわかるもの(年金手帳・基礎年金番号通知書など)
- 本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証など)
- 振込先口座の情報
実際に必要な書類は、傷病名や初診日・加入状況によって変わります。必ず事前に窓口で確認してください。初診医療機関が廃院していても、別の書類で補完できることがあります。
いつ申請すればいい?気をつける「時効」
障害基礎年金には「時効(5年)」があります。障害認定日から5年以上経ってから申請した場合、さかのぼって受け取れるのは申請日から過去5年分までになります。それより前の分は受け取れなくなってしまいます。
「まだ申請していないけど、もう何年も経ってしまった…」という方は、早めに年金事務所に相談してください。
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初診日が厚生年金加入中なら、障害基礎年金に上乗せされる可能性があります。
こういうときどうなるの?(よくあるケース)
働いていても受給できますか?
20歳前障害を除き、「働いている」という事実だけで支給停止になることはありません。ただし、更新時の審査では就労状況も含めて日常生活能力が判断されます。フルタイムで働いていると「日常生活の支障が少ない」とみなされやすくなることはあります。
うつ病や統合失調症など「精神疾患」でももらえますか?
はい、もらえます。精神疾患・知的障害・発達障害なども対象です。ただし、精神の障害は日常生活への影響が見えにくいため、診断書と申立書でいかに生活の困難を正確に伝えられるかが重要になります。
20歳前に障害を持った場合(先天性・学生時代)
国民年金の保険料を払っていなくても、20歳前に初診日がある障害は保険料納付要件なしで障害基礎年金の対象になります。ただし、就労して所得が増えると年金の一部または全部が支給停止になる仕組みがあります(前年所得が約376万円を超えると半額停止、約480万円を超えると全額停止)。
初診日の証明ができない場合
最初に行った病院が廃院してしまっていても、紹介状・薬剤情報・健康保険のレセプト記録・当時の日記など代替資料で補強できることがあります。一人で判断せず、年金事務所に相談しましょう。
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「障害者手帳」や「傷病手当金」とは違うの?
名前が似ていたり、一緒に語られたりする制度がいくつかあります。整理するとこういう関係です。
障害・病気まわりの制度マップ
よくある誤解が「障害者手帳を持っていれば自動で年金ももらえる」というものです。手帳と年金は完全に別の制度で、審査する機関も基準もまったく違います。逆に「手帳を持っていない・取れなかった」としても、年金の要件は満たしていることがあります。
会社員だった方は、障害基礎年金に加えて「障害厚生年金」ももらえる可能性があります。この2つを合わせると受取額がかなり変わります。
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会社員が受け取れる障害厚生年金の仕組みと、基礎年金との組み合わせを解説。
「傷病手当金をもらっているが、そろそろ終わりそう…」という方は障害年金の申請タイミングも確認しておきましょう。
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みんなが気になる Q&A
A.20歳前障害を除き、就労していること自体で即座に支給停止になる仕組みではありません。ただし、更新時の審査では就労状況(勤務時間・配慮の有無・仕事の内容)も含めて日常生活能力が総合的に判断されます。フルタイムで働いていると審査が厳しくなることがある点は念頭に置いておきましょう。
A.いいえ。障害者手帳と障害年金は別の制度で、認定基準も審査機関もまったく異なります。手帳があっても、初診日要件・納付要件・等級(1・2級)のいずれかを満たさなければ不支給になることがあります。逆に、手帳がなくても年金の要件を満たしていれば受給できます。
A.かかりません。障害基礎年金・障害厚生年金は所得税・住民税ともに非課税です。老齢年金とは税務上の扱いが違う点に注意してください。また、健康保険の扶養認定では障害年金を「収入」としてカウントする場合があるため、扶養に入っている方は念のため確認を。
A.不支給の場合、審査請求(不服申立て)という手続きがあります。また、その後に症状が悪化した場合には「事後重症」という方法で再び申請できます。一度ダメだったからといって完全に諦める必要はありません。社会保険労務士に相談すると対策を一緒に考えてもらえます。
A.「障害認定日請求」が認められた場合、障害認定日(初診日から1年6か月後など)の翌月分から年金が発生します。請求が遅れた分については、申請日から遡って最大5年分まで受け取れます(それ以前は時効)。「事後重症」の場合は、請求書を提出した翌月分からの支給で、遡及はできません。
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- 日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」
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- 日本年金機構「20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等」
- 日本年金機構「障害等級表」
- 日本年金機構「障害年金生活者支援給付金の概要」
この記事は一般的なケースをわかりやすくまとめたものです。最終的な判断・必要書類は、あなたが入っている年金制度の案内や、年金事務所の指示が基準になります。




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