退職後の健康保険、どれに入るのが正解?

退職後の健康保険、どれに入るのが正解?
最終更新日:2026.03.21
ざっくり言うと

会社を辞めると、翌日から会社の健康保険は使えなくなります。
でも、保険証がない状態のままにはできません。退職後は3つの選択肢から自分に合うものを選んで、なるべく早めに手続きする必要があります。

  • 選択肢は?任意継続・国保・家族の扶養の3択
  • 手続き期限は?退職後20日以内(任意継続)/14日以内(国保)
  • 保険料は?選択肢によって月数万円変わることも
  • 一番安いのは?家族の扶養(条件あり)>状況次第で任意継続か国保
  • 妊娠中の退職は?一時金の受け取り先に影響するので要注意

注意:任意継続は退職後20日を過ぎると申請できなくなります。退職が決まったら、在職中に確認しておきましょう。

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そもそも、退職したらなぜ健康保険を切り替えなきゃいけないの?

日本は「国民皆保険」といって、すべての人が何らかの健康保険に入ることが義務になっています。

会社員のあいだは、会社が自動的に「健康保険(社会保険)」に入れてくれていました。でも退職した翌日から、この保険の資格はなくなります。保険証を返さなければならないのはそのためです。

「じゃあ保険証がない期間ができてもいいか」というと、そうはいきません。病院で急に10割負担を請求されることになりますし、国民健康保険には未加入の期間分の保険料がさかのぼって請求されることがあります。

在職中 会社の健康保険に 自動的に加入 退職 翌日に 資格喪失 退職後 健康保険の空白に! 自分で手続きが必要 ↓ 次の3つから選ぶ ①任意継続 今の保険を 最長2年延長 20日以内に申請 保険料は全額自己負担 ②国民健康保険 市区町村が運営 する保険に加入 14日以内に申請 前年所得で保険料が決まる ③家族の扶養 配偶者などの 保険に入る 5日以内(家族経由) 自分の保険料は0円

退職後は3つの選択肢から自分に合うものを選んで手続きする

まとめると、退職翌日から健康保険の空白が生まれるので、自分でどれかに入り直す手続きが必要です。3つとも「3割負担で病院に行ける」点は同じです。大きく違うのは保険料の金額手続きの期限です。

3つの選択肢、何がどう違うの?

① 任意継続――今の保険をそのまま最長2年続ける

退職前に加入していた会社の健康保険(協会けんぽや健保組合)を、そのまま最長2年間使い続けられるしくみです。

  • 病院での使い勝手(給付内容)は在職中とほぼ同じ
  • 扶養に入れていた家族を引き続き扶養として入れておける
  • 保険料は全額自己負担(在職中は会社が半分払ってくれていた分がなくなる)
  • 協会けんぽの場合、保険料の計算に使う上限は標準報酬月額32万円(令和7・8年度)
  • 保険料を1日でも納め忘れると、即日資格を失う(再取得不可)

「在職中の保険料が月1万円だった」→ 任意継続すると会社負担分がなくなるので、だいたい2倍の月2万円になるイメージです。ただし、退職前の給料が高かった人は上限があるぶん逆に安くなるケースもあります。

② 国民健康保険(国保)――市区町村が運営する保険

住んでいる市区町村の国保に加入するパターンです。フリーランスや自営業者が入っているのがこれです。

  • 保険料は前年の所得をもとに計算される(退職後に収入が減れば、翌年の保険料は下がる)
  • 扶養の概念がない。家族も全員別々に保険料がかかる
  • 自治体によって保険料が大きく異なる
  • 退職後に収入が大幅に減った場合、軽減制度が使える場合がある

退職翌年の保険料に注意:国保は「前年所得」ベースなので、退職した年(1年目)は在職中の給料で計算されて保険料が高くなりやすいです。2年目以降は無収入or低収入で再計算されて下がります。

③ 家族の扶養に入る――保険料が0円になる選択肢

配偶者やご両親など、会社員として健康保険に入っている家族がいる場合、その扶養家族として入れてもらう方法です。

  • 自分の保険料は0円(家族の保険料は増えない)
  • 条件:年収見込みが130万円未満(60歳以上や障害者は180万円未満)
  • 失業給付(基本手当)を受け取っている期間は、日額によっては扶養に入れない場合がある
  • 手続きは自分ではなく、家族の会社を通じて行う

扶養に入れる状況であれば圧倒的にお得です。ただし、失業給付をもらいながら扶養に入るのは原則できないので注意が必要です。受給が終わってから扶養に入る、という流れをとる人も多いです。

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どれが一番安い?保険料で比べると?

「お金」だけで見ると、入れるなら③家族の扶養が断然お得です。次に、①任意継続か②国保かは、あなたの状況次第でどちらが安くなるかが変わります。

保険料比較のポイント(退職後の収入が少ない場合の目安) ← 入れるなら最優先 ③ 家族の扶養に入る → 保険料 0円 年収見込み130万円未満が条件(失業給付受給中は注意) ③に入れない場合 → ①②を比較 ①任意継続が有利 ・退職前の月収が高かった ・扶養家族がいる ・健保組合の附加給付  (検診無料等)を使いたい ②国保が有利 ・退職後に収入が大幅減 ・単身または家族が少ない ・軽減制度が適用される ・再就職まで2年以上かかりそう シミュレーション例(協会けんぽ加入・東京・単身) 退職前の年収400万円の場合(概算) 任意継続:月約2万円 (標準報酬月額32万円の上限が適用) 国保(退職1年目):月約2〜3万円 (前年所得で計算) ※自治体・年齢・家族構成により異なります。必ず個別に試算を。

どちらが安いかは個人の状況次第。両方を試算して比較するのが確実。

国保の保険料を事前に調べる方法

住んでいる市区町村のホームページや窓口で、前年の所得を伝えれば試算してもらえます。「○○市 国保 保険料 試算」で検索するとシミュレーターを公開している自治体も多いです。

任意継続の保険料を調べる方法

協会けんぽ加入だった場合は、協会けんぽの公式サイトに都道府県別・等級別の保険料表があります。在職中の保険料の約2倍が目安です(上限あり)。健保組合の場合は組合のルールが適用されます。

退職後は収入が不安定になりやすいので、保険料を含めた月々の支出を見える化しておくのが大切です。マネーフォワード MEなら銀行・カードを一括管理できます(無料)。

手続きはいつまでにどこに行けばいい?

3つの選択肢で手続き期限と場所が違います。特に任意継続は期限を過ぎると二度と申請できないので、退職前から動いておきましょう。

任意継続:退職日の翌日から20日以内 加入先の健康保険(協会けんぽ or 健保組合)に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出します。協会けんぽの場合は郵送またはオンライン申請が可能です。
持ち物:退職証明書または離職票(保険証は会社に返却済みのはず)
国民健康保険:退職日の翌日から14日以内 住んでいる市区町村の役所(国保の窓口)に行きます。「健康保険資格喪失証明書」が必要です。会社に発行してもらうか、ない場合は離職票や退職証明書で代用できます。
持ち物:健康保険資格喪失証明書、マイナンバーカードまたは本人確認書類
家族の扶養:退職日から5日以内(家族の会社が目安) 自分ではなく、扶養してもらう家族(配偶者など)の会社に手続きをしてもらいます。「被扶養者異動届」の提出が必要です。手続きは家族経由なので、早めに伝えておきましょう。
自分が用意するもの:健康保険資格喪失証明書(家族の会社に渡す)

「健康保険資格喪失証明書」を先にもらっておこう:どの選択肢でも「退職した証明」が必要です。会社によっては発行に時間がかかるので、退職が決まったら早めに総務・人事に依頼しておきましょう。

手続きの窓口まとめ:
任意継続 → 以前の健康保険(協会けんぽの支部、または健保組合)
国保 → 住んでいる市区町村の役所
家族の扶養 → 扶養してもらう家族の勤務先(自分では動けない)

こういうときどうなの?(よくあるケース)

すぐに再就職する予定がある場合

再就職先の入社日から、新しい会社の健康保険に自動的に入ります。退職から入社まで日が空かない場合(翌日や数日以内)は、国保の手続きをしなくてもほぼ問題ありません。ただし、保険料は日割りではなく月単位なので、月をまたいで空白期間がある場合は国保への加入が必要になることがあります。

失業給付(失業手当)をもらいながら就活する場合

失業給付の日額が3,612円以上(60歳以上は5,000円以上)の場合、家族の扶養に入れないことが多いです。失業給付の受給中は任意継続か国保を選び、受給が終わったタイミングで扶養に切り替えるという流れをとる人が多いです。

あわせて読みたい サムネイル 失業給付(基本手当)って何?いくらもらえるの? 会社を辞めたあとにもらえる失業給付のしくみと、もらえる金額・期間・手続きの流れをわかりやすく解説。

妊娠中に退職した場合

妊娠中に退職して出産育児一時金を受け取るとき、どの健康保険から受け取るかが変わります。

  • 退職後に国保や家族の扶養に切り替えた場合 → その新しい健康保険から受け取る
  • 退職前に1年以上同じ健保に加入していて、退職から6か月以内の出産なら → 前の会社の健保からも選べる(二重取りは不可)

どちらが有利か(保険料とあわせて)は、ケースによって違います。

あわせて読みたい サムネイル 出産でもらえる50万円って何?どうやって受け取るの? 出産育児一時金の基本から、退職後に受け取る場合の注意点まで。

任意継続から途中で国保に変えたくなった場合

以前は「任意継続は2年間やめられない」というルールでしたが、2022年1月の法改正により、任意継続を自分の意思で途中解約できるようになりました。「国保のほうが安くなったので切り替えたい」という場合は、保険料を納付しないことで翌月に資格を失わせるか、申し出ることで解約できます(加入している保険によってルールが異なるため確認を)。

みんなが気になる Q&A

Q. 手続きが間に合わなかったら保険なしになるの?

A.国保には「加入義務があった日(退職翌日)にさかのぼって加入」というルールがあります。手続きが遅れても保険自体は適用されますが、未加入期間の保険料がまとめて請求されます。任意継続は20日の期限を過ぎると申請できなくなります。どちらにしても早めの手続きがベストです。

Q. 退職前に保険証を使って病院に行ったのにまだ会社に返してない…大丈夫?

A.退職日当日まで保険証は有効です。退職後に使ってしまった場合は10割の負担になりますが、後から「療養費申請」で7割分を取り戻すことができます。まずは旧保険証を会社に返却し、新しい保険に切り替えましょう。

Q. 任意継続の保険料は毎年変わる?

A.原則として2年間変わりません。ただし、保険料率が変わったとき・標準報酬月額の上限が変わったとき・40歳や65歳の節目で介護保険料が加算・解除されるとき、などは変わることがあります。

Q. 国保には「軽減制度」があると聞いたけど?

A.はい、あります。特に「倒産・解雇・雇い止めなどで離職した場合」は、前年所得の給与所得を30/100(つまり3割)に軽減して保険料を計算する「非自発的失業者の軽減制度」があります。自己都合退職には適用されませんが、会社都合の退職なら大幅に安くなる可能性があります。市区町村の窓口で確認を。

Q. 任意継続中に再就職したらどうなる?

A.新しい会社の社会保険に自動的に切り替わります。任意継続の資格は、再就職した日に自動的に終了します。特別な手続きは不要(退職した旧保険の資格喪失手続きは会社が行ってくれます)。

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この記事はわかりやすさを優先して、細かいルールを省略している部分があります。最終的に正確な情報は、以下の公式サイトや、あなたが加入する健康保険の窓口で確認してください。

この記事は一般的なケースをわかりやすくまとめたものです。保険料は収入・住んでいる自治体・年齢・家族構成によって異なります。最終的な確認は各窓口でお願いします。

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