住宅ローンを繰上返済したら、控除額はどう変わる?|年末残高と10年ルール

住宅ローンを繰上返済したら、控除額はどう変わる?|年末残高と10年ルールで整理
最終更新日:2026.02.09

住宅ローンを繰上返済したら、控除額はどう変わる?

結論:年末残高が下がるので控除も下がる。
ただし「利息が減る額」と「控除が減る額」を比べると、得になることも普通にあります。

  • 控除の決まり方年末残高×0.7%(上限あり)
  • 控除が減る理由繰上返済で年末残高が減るため
  • 見落とし注意返済期間が10年未満になると対象外の年が出る
  • 判断のコツ減る控除より、減る利息が大きいか
  • よくある結論金利が高いほど繰上返済が有利になりやすい
先に確認:繰上返済後の「返済期間(初回返済日〜最終返済日)」が10年を切らないか、返済予定表で必ず確認してください。

1. 住宅ローン控除の基本は「年末残高×0.7%」

住宅ローン控除(住宅ローン減税)は、年末(12月31日)の住宅ローン残高に一定の割合をかけた金額を、税金から差し引ける仕組みです。基本の計算はシンプルで、年末残高×0.7%です。

ポイント:差し引けるのは、まず所得税。引ききれない分があるときは、翌年の住民税から一部が差し引かれます(ただし上限があります)。

入居した年と住宅の種類で「上限」と「期間」が変わる

控除に使える年末残高には上限があり、上限は入居した年住宅の種類で変わります。

2026〜2030年に入居(国の方針) 新築 既存(中古など)
性能が高い住宅(長期優良・低炭素) 年末残高の上限 4,500万円(子育て世帯などは5,000万円)/13年 年末残高の上限 3,500万円(子育て世帯などは4,500万円)/13年
ZEH水準(省エネ性能が高い) 3,500万円(子育て世帯などは4,500万円)/13年 3,500万円(子育て世帯などは4,500万円)/13年
省エネ基準適合 2,000万円(子育て世帯などは3,000万円)/13年
※2028年以降の新築は原則対象外(例外あり)
2,000万円(子育て世帯などは3,000万円)/13年
その他の住宅 原則対象外 2,000万円/10年

※上の表は2026〜2030年入居の方向性(控除率0.7%)。所得要件(原則2,000万円以下)や床面積など、細かい条件もあります。最終的な適用は関連法の成立が前提です。

控除の上限と条件を、公式資料で確認する

入居年・住宅の種類・床面積などで条件が変わります。まずは公式の一覧で、自分がどこに当てはまるか確認しておくと迷いません。

国土交通省の案内を見る
※外部サイトに移動します。

2. 繰上返済をすると控除額はどう変わる?

結論はシンプルです。繰上返済をして年末残高が減れば、その年の控除額も減ります。(計算が「年末残高×0.7%」だからです。)

同じ繰上返済でも「いつやるか」で影響する年が変わる

  • 12月31日より前に繰上返済 → その年の年末残高が減るので、その年の控除額が減る
  • 1月1日以降に繰上返済 → その年の控除は変わらず、次の年から影響
例:年末残高が2,000万円で、年末前に200万円繰上返済した場合。
控除の計算に使う残高が200万円減るので、控除額は最大で 200万円×0.7%=1.4万円 下がる可能性があります(上限や税額の状況で変わります)。

「上限に当たっている人」は、繰上返済しても控除が変わらないことがある

年末残高が上限より多い場合は、控除の計算に使う残高は上限で頭打ちです。例えば上限が3,500万円で年末残高が4,000万円なら、控除は3,500万円分で計算されます。この状態で300万円繰上返済しても、年末残高が3,700万円ならまだ上限を超えているので、控除額は変わりません。

3. 判断は「減る控除」より「減る利息」が大きいか

繰上返済は、元金が減るので、その元金にかかる利息が減ります。一方で控除は年末残高が減ると減ります。だから利息が減る額 − 控除が減る額で考えるのが基本です。

よくある目安:住宅ローン減税の期間中に繰上返済をしたほうが有利かどうかは、ほぼ金利で決まるという整理が紹介されています。

ざっくり比較する手順(計算が苦手でもできる)

  1. いまのローンの金利(年)を確認する
  2. 控除が残っている年数(残り何年か)を確認する
  3. 繰上返済する予定の金額を決める
  4. 「控除の減り」をざっくり出す:繰上返済額×0.7%(その年の最大の減り)
  5. 銀行のシミュレーションで「利息の減り(総額)」を出す
  6. 利息の減りが控除の減り(合計)より大きいなら、繰上返済が有利になりやすい

※控除の減りは、年末残高の推移や上限、所得税・住民税の上限の影響で「計算どおりに減らない」こともあります。シミュレーションで最終確認すると安全です。

金利が高いなら「借り換え」も同時に比較

繰上返済と借り換えは、どちらも「利息を減らす」手段です。手数料も含めて総額で比較すると判断が早くなります。

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繰上返済の効果をシミュレーションで確認

「いつ・いくら・期間短縮/返済額軽減」で、利息がどれだけ減るかが変わります。まずは数字を出すと迷いが減ります。

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4. 返済期間が10年を切ると、控除が止まることがある

住宅ローン控除は、原則として返済期間が10年以上のローンが対象です。繰上返済で返済期間を短くしすぎると、対象から外れる年が出る可能性があります。

チェック方法:銀行の「返済予定表」で、初回返済日〜最終返済日が10年以上あるかを見ます。わからなければ、銀行に「住宅ローン控除を使っているので、10年を切らないようにしたい」と伝えて確認してください。

証明書の金額と実際の年末残高がズレることもある

年末残高の証明書には、作成時点の予定額が載ることがあります。繰上返済などで実際の年末残高が変わった場合は、実際の年末残高で計算が必要とされています。

5. 繰上返済するなら「期間短縮」と「返済額軽減」どっち?

繰上返済には大きく2つあります。

  • 期間短縮型:毎月の返済額はあまり変えず、完済を早める
  • 返済額軽減型:完済時期はあまり変えず、毎月の返済額を下げる
利息を減らすだけなら:一般に「期間短縮型」のほうが利息が減りやすいとされています。
家計を安定させたいなら:毎月の支払いが下がる「返済額軽減型」も選択肢です。

控除への影響は、どちらも基本は同じで、年末残高がどうなるかで決まります。

6. 「住民税の上限」「ふるさと納税」も影響する

住民税からの控除には上限がある

所得税で引ききれない分は住民税から差し引かれますが、住民税側には上限があります。上限に当たっている人は、控除が余っても消えてしまうので、繰上返済で控除が少し減っても影響が小さいケースがあります。

ふるさと納税は「手続きのしかた」で影響が変わる

住宅ローン控除の初年度は確定申告が必要になりやすく、その年はワンストップ特例が使えないなど、手続きが変わります。ふるさと納税をしている人は、確定申告の有無も含めて整理しておくと安全です。

迷いやすいところ:「控除が減る」と感じても、実際は「所得税がそもそも少ない」「住民税の上限に当たっている」「残高が上限を超えている」などで、減り方が想像と違うことがあります。

7. 迷ったらこの順で決める(チェックリスト)

決める前に、最低限この5つだけ確認すると、判断が一気に楽になります。

  1. 年末残高(12/31時点の残り)
  2. いまの金利(年)
  3. 控除が残っている年数
  4. 繰上返済する金額と時期(年末前か、年明けか)
  5. 今年の所得税額(給与明細や源泉徴収票でだいたい把握)
「繰上返済 vs 借り換え」をまとめて相談

数字が苦手なら、FP相談や銀行の相談で「利息の減り」と「控除の減り」を一緒に見てもらうと早いです。

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注意:生活防衛資金(急な出費に備えるお金)まで繰上返済に回すと、家計が苦しくなります。まずは手元資金に余裕がある範囲で検討してください。

8. Q&A

Q. 繰上返済したら、控除額はいつから変わりますか?

A.控除は12月31日の年末残高で決まります。年末までに繰上返済をするとその年から減り、年明けに繰上返済をすると次の年から影響します。

Q. 繰上返済で完済したら、控除はどうなりますか?

A.年末残高が0円になるので、その年の控除額は0円になります。控除期間が残っていても、残高がなければ控除は出ません。

Q. 期間短縮型にすると控除がなくなるって本当?

A.「期間短縮型」だから必ずなくなる、ではありません。ただし、繰上返済後の返済期間が10年を切ると、対象外の年が出る可能性があります。返済予定表で必ず確認してください。

Q. 控除が減るのが嫌です。繰上返済は控除が終わってからが正解?

A.一概にそうとは言えません。控除が減っても、利息がそれ以上に減るなら早めの繰上返済が有利になることがあります。金利・手数料・残り年数で決まるので、シミュレーションで比較すると確実です。

Q. 年末残高証明書の金額と、実際の残高が違うときは?

A.繰上返済などでズレた場合は、実際の年末残高で計算が必要とされています。わからないときは税務署や金融機関に確認してください。

9. 参考(公式・一次情報)

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