相続した家を売った、取得費がわからない場合どう計算する?|5%ルールと税金の目安

相続した家を売った、取得費がわからない場合どう計算する?|5%ルールと税金の目安
最終更新日:2026.02.10
このページでわかること

相続した家を売るときの税金は、売った値段ではなくもうけで決まります。 そして、買ったときの値段(取得費)がわからない場合でも、売った値段の5%を使って計算できるルールがあります。

  • 結論取得費不明なら「売却額×5%」で計算できる
  • 注意5%だと税金が増えやすい。書類探しが先
  • 期間相続なら「亡くなった人が買った日」から数える
  • 特例条件を満たすと3,000万円(場合により2,000万円)控除も
  • 手続き利益が出る・特例を使うなら確定申告が基本

注意:税金の計算は「書類の有無」「家の使い方」「相続人の人数」などで変わります。不安な場合は税理士・税務署の案内で確認してください。

1. まず結論:取得費が不明なら「売った値段の5%」で計算できる

買ったときの値段(取得費)がわからない場合は、売った値段の5%を「買ったときの値段」として計算できます(いわゆる5%ルール)。 古い相続物件で売買契約書が見つからないときの、いちばん基本の逃げ道です。

ただし、5%はたいてい低くなりやすいため、もうけが大きく見えて税金が増えやすいです。 まずは「実際にいくらで買ったか」を探すのが基本です。

  • 手順:①書類を探す → ②見つからなければ5%を使う → ③使える控除・特例がないか確認
  • ポイント:5%を使うときは、相続人が払った登記費用などを「取得費」に足せないことがあります(詳しくは後述)。

2. 税金の元になる「もうけ」の計算式

家を売ったときの税金は、だいたい次の考え方です。

もうけ(税金の元)= 売った値段 −(買ったときに払ったお金+売るためにかかったお金)

  • 買ったときに払ったお金:購入代金・購入時の手数料・大きなリフォームなど(建物は年数で減った分を引いて考えることがあります)
  • 売るためにかかったお金:仲介手数料、印紙、測量、解体費用など

もうけが0以下なら、通常はこの税金は出ません。ただし、控除・特例を使うときや、手続き上必要なときは申告が必要になることがあります。

2-1. ざっくり試算の例(取得費が不明で5%を使うケース)

項目金額(例)メモ
売った値段3,000万円売買契約の金額
買ったときの値段(取得費)150万円3,000万円×5%
売るためにかかったお金120万円仲介手数料など(例)
もうけ(税金の元)2,730万円3,000−(150+120)

※上は「考え方」をつかむための例です。実際は、建物の年数や、相続税を払ったか、使える特例があるかで変わります。

3. 相続した家の「取得費」と「持っていた期間」はどうなる?

3-1. 基本は「亡くなった人が買ったときの情報」を引き継ぐ

相続した家を売る場合、原則として亡くなった人が買ったときの購入代金や手数料をベースに「取得費」を考えます。 さらに、相続したときに相続人が払った登記費用不動産取得税なども、条件により取得費に入れられます。

注意:取得費が不明で「5%」を使う場合は、登記費用などを取得費に足せないことがあります。

3-2. 5年超/5年以下の判定は「亡くなった人が買った日」から

税率は、売った年の1月1日時点で「持っていた期間」が5年を超えるかで大きく変わります。 相続の場合は、その期間も亡くなった人が買った日から数えます。

区分判定税率の目安
長期売った年の1月1日に「5年超」所得税15%+住民税5%(復興特別所得税が上乗せされる期間あり)
短期売った年の1月1日に「5年以下」所得税30%+住民税9%(復興特別所得税が上乗せされる期間あり)

4. 取得費がわからないときの現実的な探し方

5%ルールは使えますが、税金が増えやすいので、まずは「買ったときの情報」を探す方が得になりやすいです。

4-1. よく使われる資料の例

  • 当時の売買契約書、重要事項説明書
  • 手付金・残代金の振込記録、ローンの資料
  • 購入時の仲介手数料登記費用の領収書
  • 増改築・大規模リフォームの領収書(「元に戻す修理」と区別できると整理しやすい)
  • 相続時に支払った登記費用、不動産取得税の納付書(該当する場合)

どこまで資料が必要かはケースで変わります。金額の根拠を説明できる形(写し・メモ)で残すと後で困りにくいです。

4-2. 書類がそろわないときは「5%」と比較して判断

取得費が少しでも分かるなら、5%で計算した場合推定した金額で計算した場合を比べます。 取得費が大きい方が、もうけが小さくなって税金が減りやすいからです。

売却前に「相場」と「必要書類」を整理する

取得費が見えないときは、まず売却見込みを押さえたうえで、税金が出そうかを当たりを付けるのが近道です。 複数社の査定を比べると、売却費用(仲介手数料等)の見積もりも取りやすくなります。

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5. 条件次第で税金を減らせる制度(代表例)

5-1. 相続した空き家の「3,000万円控除」(相続人3人以上なら2,000万円)

相続した家が「空き家」になっていて一定の条件を満たすと、もうけから最高3,000万円(条件により2,000万円)を引ける制度があります。

  • 対象期間:平成28年4月1日〜令和9年12月31日に売る
  • 家の条件:原則として昭和56年5月31日以前に建築、区分所有建物(いわゆるマンションの1室)は対象外
  • 使い方の条件:亡くなった人が1人で住んでいた等、一定の条件
  • 売却期限:相続開始から一定期間内(目安として「3年を経過する年の12月31日まで」など)
  • 売った値段:1億円以下 など

条件が多いので、対象かどうかは公式資料のチェックが確実です。

5-2. 相続税を払った人は、その一部を「取得費」に足せることがある

相続税を払ったうえで一定期間内に売ると、払った相続税の一部を「取得費」に足して、もうけを小さくできることがあります。目安は相続税の申告期限(通常10か月)から数えて3年以内です。

5-3. 自分が住んでいた家なら、別の控除が使えることも

相続した家にあなたが住んで「自分の家」としてから売る場合などは、別の控除・特例が関係することがあります。条件が複雑なので、該当しそうなら早めに確認してください。

6. 確定申告の流れと、用意しやすいもの

相続した家を売ってもうけが出た場合や、控除・特例を使う場合は、確定申告が必要になることが多いです。

6-1. ざっくりの流れ

  1. 売った値段、売るためにかかったお金(仲介手数料など)を整理する
  2. 取得費(亡くなった人の購入代金等)を探し、難しければ5%で計算する
  3. 使える控除・特例があるか確認する(空き家控除、相続税の加算など)
  4. 確定申告書に入力して提出する(提出のしかたは電子・郵送・窓口など)

6-2. よく必要になる書類の例

  • 売買契約書(売ったとき)
  • 仲介手数料などの明細
  • 取得費の根拠資料(契約書、振込記録、領収書など)
  • 相続関係の書類(相続登記に関する資料、相続税を払った場合は申告書の控え等)

まずは入力して「税金の当たり」を見る

取得費が5%になるかもしれないときは、ざっくりでも一度入力してみると、税金の規模感がつかめます。 途中で分からない項目が出たら、必要書類の追加や、専門家相談に切り替えやすくなります。

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7. つまずきやすいポイント(チェックリスト)

  • 共有名義:相続人が複数なら、もうけも税金も持分(割合)で分けて計算します。
  • 建物の年数:家(建物)は年数で価値が減ったとみなされるため、購入代金をそのまま使えないことがあります。
  • 修理とリフォーム:元に戻すだけの修理は「取得費」に入らない扱いになることがあります(線引きが難しいので資料が重要)。
  • 5%を使う場合:登記費用などを取得費に足せない点に注意。
  • 空き家控除:期限や家の条件があるので「売るタイミング」を先に確認。

迷いやすい論点が多いので、売却が決まったら「契約書・精算書・領収書」をひとまとめにして保管すると後で整理しやすいです。

8. Q&A

Q. 取得費が分からないときは、必ず5%で計算?

A.必ずではありません。購入時の契約書や振込記録などで取得費を説明できるなら、その金額で計算できます。どうしても分からないときに、5%を使えます。

Q. 相続した家の「5年超/以下」はいつから数える?

A.相続の場合は、亡くなった人が買った日から数えます。判定は「売った年の1月1日」で行います。

Q. 仲介手数料や測量費、解体費は引ける?

A.売るために直接かかった費用は、もうけの計算で引けることがあります。契約書・領収書・精算書などを保管しておくのが基本です。

Q. 空き家の3,000万円控除は、誰でも使える?

A.使えるのは一定の条件を満たす場合です。家の建築時期、亡くなった人の居住状況、売却期限、売却価格の上限などがあるため、公式資料で確認してください。

Q. 税金が0円になりそうでも、確定申告は必要?

A.控除・特例を使う場合は、申告が前提になることが多いです。判断がつかないときは、税務署の案内や税理士に確認してください。

9. 参考(公式資料)

実際の適用可否は個別事情で変わります。判断に迷う点がある場合は、税務署の案内や税理士へ確認してください。

関連コラム(あわせて読みたい)

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