副業が赤字8万円でも、確定申告で得する場合と、ほぼ変わらない場合があります。 分かれ目は主に①副業の扱い(事業か、雑所得か)と、②支払い元で税金が天引き(源泉徴収)されているかです。
- 得しやすい事業の赤字/源泉徴収あり
- 得しにくい雑所得の赤字(天引きなし)
- 期限の目安2025年分:2026/2/16〜3/16
- まずやること収入と経費を1枚に整理
1. 結論:赤字8万円で「得する/しない」を決める3つの確認
税金は基本的に利益(もうけ)にかかるので、赤字なら「追加で税金が増える」ことは通常ありません。 ただし、確定申告をするとお金が戻るケースがあり、その代表が次の3つです。
- 副業が「事業」として扱える:給与など他の収入と赤字を相殺でき、税金が下がることがあります。
- 支払い元で税金が天引きされている:天引き額が多かった場合、確定申告で戻ることがあります。
- 来年以降の黒字に備えて赤字を持ち越したい:条件を満たすと、赤字を翌年以降に繰り越して使えます(青色申告が基本)。
| 状況 | 確定申告で得する可能性 | 理由(ざっくり) |
|---|---|---|
| 雑所得の赤字(天引きなし) | 低い | 赤字を給与と相殺できないため。 |
| 雑所得の赤字(天引きあり) | あり | 天引き分が多いと、申告で戻ることがある。 |
| 事業所得の赤字(給与あり) | 高い | 赤字を給与と相殺でき、税金が下がることがある。 |
「申告した方が得?」を先に判定したい人へ
副業の扱い(事業/雑所得)と、天引きの有無で結果が変わります。まずは条件を整理してから、申告するか決めるとムダが減ります。
無料でチェックする2. まず確認:その副業は「事業」?それとも「雑所得」?
副業の赤字が給与と相殺できるかは、税の区分(所得の種類)で大きく変わります。 ポイントは「その活動が、商売として継続しているか」です。
2-1. 「事業所得」になりやすい目安
- 売上や経費を帳簿に記録し、書類(請求書など)を保存している
- 継続して受注し、改善や宣伝など商売としての動きがある
- 時間や手間を一定量かけ、利益を出す意図がはっきりしている
2-2. 「雑所得」になりやすい目安
- 単発・趣味寄りで、売上や経費の記録が薄い
- 継続性が弱く、「たまにやる」程度
- 収入規模が小さく、帳簿や証拠がほとんどない
※線引きはケースで変わります。迷うなら日々の記録(売上・経費・作業内容)を整えるのが先です。
帳簿づけが苦手なら、まずはツールで
副業が事業扱いになるかどうかの判断で、帳簿の有無は大きな材料になります。レシート管理から始められるツールだと続きます。
確定申告ソフトを比較する3. 雑所得の赤字8万円:基本は「得しない」けど、例外がある
雑所得の赤字は、国税庁の説明でも他の所得と相殺できません。 つまり、会社員の給与と赤字をぶつけて税金を下げる、という使い方はできません。
3-1. それでも申告すると得する「典型例」
副業の報酬が「原稿料」「講演料」などで、支払い元が税金を天引き(源泉徴収)しているケースです。 天引きは「支払額」に対して計算されるため、経費で赤字でも天引きはされます。 この場合、確定申告で赤字(または利益が小さい)を反映すると、天引き分が戻ることがあります。
3-2. 具体例(イメージ)
- 報酬:20万円(支払い元が10.21%を天引き → 約2万円)
- 経費:28万円
- 結果:副業は赤字8万円
この場合、副業側の税額は「0」に近づくので、天引きされた分が戻る可能性があります(給与など他の税額との合算で決まります)。
4. 事業所得の赤字8万円:会社員なら「得する」可能性が高い
副業が事業として扱えるなら、赤字を給与などと相殺できることがあります。 その結果、すでに天引きされている給与の所得税が戻る可能性が出ます。
4-1. どれくらい戻る?(ざっくり計算)
ざっくり言うと、戻る金額は次のイメージです。
※所得税の税率は人によって変わります。
| 所得税の税率(目安) | 戻りの合計イメージ | 内訳(概算) |
|---|---|---|
| 5% | 約12,000円 | 所得税4,000円 + 住民税8,000円 |
| 10% | 約16,000円 | 所得税8,000円 + 住民税8,000円 |
| 20% | 約24,000円 | 所得税16,000円 + 住民税8,000円 |
※住民税は、申告が反映されたあと、翌年度の住民税(だいたい6月〜)に効いてきます。所得税は、申告内容によって還付として戻る形が多いです。
4-2. 「事業の赤字」にするために最低限そろえたいもの
- 売上(入金)と経費の一覧(日付・金額・内容)
- 経費の根拠(レシート、明細、請求書)
- 副業用の口座・カードなど、お金の流れを追える形(できれば)
5. 申告した方がいい?チェックリスト(会社員の副業)
5-1. 申告した方がいい可能性が高い
- 副業が「事業」と言えそうで、赤字を給与と相殺できそう
- 報酬が天引き(源泉徴収)されていて、戻ってきそう
- 医療費控除など、別の理由で確定申告をする予定がある(ついでにまとめて出す)
- 今後も副業を続けて、黒字化を狙う(記録の土台づくり)
5-2. 申告しても変わりにくい(=優先度は低め)
- 副業が雑所得寄りで、天引きもなく、他に申告理由がない
- 給与だけで年末調整が完了していて、還付が出る要素がない
6. 「赤字の持ち越し」をしたいなら、青色申告の準備が必要
事業の赤字は、その年に相殺しきれない分を、翌年以降に繰り越して使える制度があります。 ただし、一般に青色申告の条件を満たしていることが前提になります。
6-1. 青色申告を使うと何が変わる?
- 赤字を翌年以降に繰り越して、黒字と相殺できる(原則3年間)
- 帳簿づけのルールが明確になり、事業扱いの根拠を作りやすい
6-2. 申請期限に注意
青色申告をしたい年については、「青色申告承認申請書」を原則その年の3月15日までに提出します(年の途中で始めた場合は、開始から2か月以内)。 期限を過ぎると、その年は青色にならず、来年からになります。
7. 申告の手順(ざっくり)
7-1. 準備するもの
- 会社員:源泉徴収票
- 副業:売上のわかるもの(入金明細、請求書など)
- 副業:経費の根拠(レシート、明細)
- 口座(還付を受ける口座)
7-2. ざっくりの流れ
- 副業の「売上−経費」を整理(赤字ならマイナス)
- 副業が事業か雑所得か、現実的な区分を決める
- 確定申告書を作成(e-Taxなど)して提出
- 還付がある場合は入金を待つ/住民税は翌年度に反映
2025年分(令和7年分)の所得税の申告・納税期間は、国税庁の案内では2026年2月16日(月)から3月16日(月)です。
迷うなら「相談」でコストを固定
事業か雑所得かで結果が変わるので、判断に迷うなら短時間相談で方向性だけ固める方が安く済むことがあります。
専門家に相談する8. Q&A
A.「事業として扱える赤字」や「天引き(源泉徴収)がある赤字」なら、申告でお金が戻る可能性があります。雑所得で天引きもなく、他に申告理由がない場合は、申告しても結果が変わらないことが多いです。
A.事業としての実態(継続、利益を狙う活動、記録)があるなら、準備段階の支出として扱われることがあります。一方、趣味や単発だと否認されやすいので、作業記録や根拠を残してください。
A.支払い明細や振込通知に「源泉」「所得税」などの控除が書かれていることが多いです。原稿料・講演料などは、支払額に対して10.21%で天引きされるのが基本です。
A.会社員で一定の条件を満たす場合、給与以外の所得が20万円以下なら所得税の確定申告が不要とされることがあります。ただし、還付を受けたいときや、住民税の申告が別途必要なときは例外があります。
A.住民税の通知経路で気づかれるケースがあります。確実な対策は一概に言えませんが、申告時に住民税の徴収方法を確認するなど、基本のポイントは押さえておくと安心です。
9. 参考(公式資料)
- 国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」(給与以外20万円以下の扱い)
- 国税庁「雑所得」(雑所得の損失は損益通算できない)
- 国税庁「損益通算」(所得の相殺の考え方)
- 国税庁「青色申告制度」(純損失の繰越し等)
- 国税庁「所得税の青色申告承認申請手続」(提出期限)
- 国税庁「原稿料や講演料等を支払ったとき」(源泉徴収10.21%の計算)
- 国税庁資料「事業所得と雑所得の区分について」(区分の考え方)
- 国税庁通達改正(2022年10月)「事業所得と業務に係る雑所得の区分」(帳簿保存の扱い等)
- 国税庁「令和7年分確定申告期の確定申告会場のお知らせ」(受付期間)
※住民税の申告の要否は自治体で案内が異なります。お住まいの市区町村のページも確認してください。