働きながら年金が減るって本当?在職老齢年金の2026年改正をわかりやすく解説

働きながら年金が減るって本当?在職老齢年金の2026年改正をわかりやすく解説
最終更新日:2026.02.05
ざっくり言うと

65歳を過ぎても働いていると、収入が多いと老齢厚生年金が減ってしまう場合があります。
この「働くほど年金が減る」しくみを在職老齢年金と呼びます。
2026年4月から、年金が減り始める基準が月51万円→月65万円に引き上げられます。

  • いつから?2026年4月〜
  • 何が変わる?基準が月51万円→65万円に
  • 計算方法は?65万円超えた分×1/2が停止
  • 影響が大きい人は?合計が月51〜65万円の帯
  • 老齢基礎年金は?対象外(減らない)
  • 手続きは?原則不要(自動で計算)

注意:老齢基礎年金(いわゆる「国民年金の分」)はこの制度の対象外です。また、基準額は毎年度改定されます。この記事の金額は2026年度(令和8年度)のものです。

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そもそも、なんで「働くと年金が減る」の?

年金って、「老後の収入がなくなる人のために」設計されています。
だから、現役並みの給料をもらいながら年金もフルでもらうと、「収入の重複」が起きる、という考え方があります。

そこで生まれたのが在職老齢年金という仕組みです。
簡単に言うと、「賃金+老齢厚生年金」が一定額を超えたら、超えた分の半分を年金から引く、というルールです。

在職老齢年金:しくみのイメージ 退職して年金だけ受給 老齢厚生年金 (フル受給) 給与なし ✓ 年金は減らない 働きながら年金受給 老齢厚生年金 (一部停止の可能性) 給与(賞与含む) ▲ 合計が基準超で 超過分×1/2が停止 (2026年度:月65万円超)

退職して年金だけ受け取る場合は全額もらえる。働きながら受給すると、収入との合計が基準を超えると減額が発生する。

つまり、「全額もらえない」のは、賃金と年金を合わせた月収が基準額を超えている人だけなんです。基準額(2026年度は65万円)以下なら、働いていても年金は一切減りません。

2026年4月から、何が変わるの?

一言で言うと、「年金が減り始める基準が上がった」ということです。

これまでは賃金+老齢厚生年金が月51万円を超えると減額が始まっていました。
2026年4月からは、この基準が月65万円に引き上げられます。

基準額の変化(まとめ)

  • 2024年度(2024/4〜2025/3):月50万円が基準
  • 2025年度(2025/4〜2026/3):月51万円が基準(名目賃金の変動に伴い改定)
  • 2026年度(2026/4〜):65万円が基準(法改正で大幅引き上げ)

「62万円という数字を聞いたことがある」という方も多いかもしれません。
62万円は法律に書いてある”土台の数字”で、毎年の賃金変動に合わせて実際の基準額は変わります。2026年4月からの実際の適用額は65万円です。

この改正でいちばん恩恵を受けるのは、「賃金+老齢厚生年金」が月51〜65万円帯にいる人です。
この帯の人は、2026年4月以降は年金が全額もらえるようになる可能性があります。

結局、自分の年金はいくら増えるの?(計算方法)

計算の考え方はシンプルです。基準額(65万円)を超えた分の半分が停止される、それだけです。

計算式(2026年4月以降)

  • 基本月額(老齢厚生年金の月額)+ 総報酬月額相当額(賃金の月換算)が65万円以下→ 停止なし(全額もらえる)
  • 65万円を超える場合 → 支給停止額=(合計 − 65万円)÷ 2
支給停止の計算フロー(2026年4月〜) STEP 1:2つの数字を足す 基本月額(老齢厚生年金)+ 総報酬月額相当額(賃金) STEP 2:基準額(65万円)と比べる 65万円以下? or 超えている? 65万円以下 → 停止なし(全額支給) 65万円超 →(合計−65万)÷2 を停止 ※「総報酬月額相当額」は、標準報酬月額+直近1年の標準賞与額÷12

合計が65万円を超えた場合のみ、超えた分の半分が年金から引かれる。

具体例で確認してみよう

たとえば、老齢厚生年金が月10万円、賃金(月換算)が45万円の人の場合を見てみましょう。

  • 合計:10万円+45万円=55万円
  • 2025年度(基準51万円):(55−51)÷2=2万円停止→ 8万円受給
  • 2026年4月〜(基準65万円):55万円≦65万円なので停止なし→ 10万円フル受給

「超えた分の1/2が停止」なので、収入が1万円増えても年金が1万円減るわけではありません。
年金が減る額は「増えた収入の半分だけ」です。働き損にはなりにくい設計になっています。

※「総報酬月額相当額」は、手取りの給与ではなく「標準報酬月額+(直近1年の標準賞与額÷12)」です。給与明細の手取り額では判定できないので注意してください。

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誰が影響を受けるの?自分は対象?

影響が出るのは、次の3つをすべて満たす人です。

1
老齢厚生年金(報酬比例部分)を受け取っている 国民年金(老齢基礎年金)だけの人は対象外です。会社員や公務員として厚生年金に加入していた期間がある人が対象です。
2
受給しながら働いている(給与・賞与がある) 再雇用、再就職、パートなどで給与をもらっている人が対象です。
3
賃金+老齢厚生年金の合計が月51万円を超えている(2025年度) 2026年4月以降は基準が月65万円に上がります。それ以下なら今後は減額されません。

影響の大きさで分類すると

  • 影響がいちばん大きい人:合計が月51〜65万円の帯にいる人 → 2026年4月以降は停止がゼロになり得る
  • 影響があるが残る人:合計が月65万円超の人 → 停止は残るが、停止額は小さくなる
  • 影響がほぼない人:合計がそもそも月51万円以下、または老齢厚生年金がない人
あわせて読みたい サムネイル 老齢厚生年金ってなに?老齢基礎年金との違いは? 会社員が受け取れる厚生年金の仕組みと、国民全員が受け取れる基礎年金との違いをわかりやすく解説。

こういうときどうなるの?よくあるケース

賞与が多い人は意外と基準を超えやすい

月給だけで「65万円以下だから大丈夫」と思っても、賞与があると話が変わります。
判定に使う「総報酬月額相当額」は、直近1年の賞与を12か月で割って足した金額で計算されます。

たとえば月給40万円でも、年間賞与が120万円(月10万円分)あれば、総報酬月額相当額は50万円になります。
そこに老齢厚生年金(例:15万円)を足すと65万円——ぴったり基準に引っかかってきます。

手取り給与ではなく「標準報酬月額+標準賞与の月割り」で判定されます。給与明細の手取り額と異なるので、正確な確認は「ねんきんネット」か年金事務所に問い合わせるのが確実です。

退職したら年金は戻る?

退職して厚生年金の適用事業所を離れると、支給停止がなくなります。
また、在職中に加入していた期間が「退職改定」として年金額に反映され、年金額が増えることもあります。
ただし反映まで少しタイムラグがあるので、退職直後にすぐ増えるわけではありません。

「年金が増える=手取りが増える」とは限らない

これが最大の落とし穴です。
在職老齢年金の停止がなくなって年金が増えても、同時に働いて収入が増えれば所得税・住民税・社会保険料が増えます
結果として手取りの増え方が小さい、ということが起こり得ます。

大事なのは「税・社保込みの手取り」で判断すること。年金の支給停止の話だけでなく、家計全体でシミュレーションすると判断しやすくなります。

「在職定時改定」とか「繰下げ受給」とは違うの?

働きながら年金をもらう場面では、在職老齢年金以外にも知っておきたい制度がいくつかあります。
ひと目で整理してみましょう。

働く高齢者に関係するお金の制度 在職老齢年金 賃金+厚生年金が超えると一部停止 在職定時改定 65歳以上:毎年10月に 加入期間が年金額に反映 退職改定 退職後:未反映期間を年金額に 加算。反映にタイムラグあり 高年齢雇用継続給付 60〜64歳:賃金低下に対し 雇用保険から給付(要件あり) 繰下げ受給 受給開始を遅らせて 年金額を増やす(在職とは別軸) 青枠:老齢厚生年金の増減に関係 オレンジ:雇用保険の給付 緑:受給タイミング

在職老齢年金は「超えた分が減る」制度。在職定時改定や繰下げ受給は「年金額が増える」別の仕組みです。

在職定時改定(65歳以上):在職中でも年金が増える可能性

65歳以上70歳未満で厚生年金に加入しながら働いている人は、毎年10月に受給開始後の加入期間が年金額に反映されます。
退職を待たなくても年金が少しずつ増えるので、長く働くほどメリットが積み上がります。

高年齢雇用継続給付(60〜64歳):2025年4月に支給率が変わった

60〜64歳で賃金が下がった場合に受けられる雇用保険の給付です(年金とは別の制度)。
ただし、2025年4月1日以降に60歳を迎えた人から、最大支給率が15%→10%に変更されています。
60代前半の収入設計では、この変化も合わせて確認しておきましょう。

あわせて読みたい サムネイル 高年齢雇用継続給付ってなに?60代の賃金低下を補う制度 60歳以降の賃金が下がったときに雇用保険から受けられる給付。2025年4月の支給率変更も解説。

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みんなが気になるQ&A

Q.「62万円」と「65万円」、どっちが正しいの?

A.どちらも間違いではありません。「62万円」は法律に書かれた令和6年度水準の法定額(出発点の数字)です。毎年の賃金変動に合わせて実際の金額は変わり、令和8年度(2026年4月〜)の適用額は65万円になっています。

Q.月給が65万円以下なら絶対に減らないの?

A.月給だけで判断はできません。判定に使う「総報酬月額相当額」は、月給(標準報酬月額)に直近1年の賞与を12か月で割った額を足した数字です。賞与が多い人は合計が65万円を超えることがあります。老齢厚生年金の月額も足して判定するので、ねんきんネットか年金事務所で確認するのが確実です。

Q.老齢基礎年金(国民年金部分)も減るの?

A.原則として老齢基礎年金は在職老齢年金の支給停止の対象外です。減るのはあくまで「老齢厚生年金(報酬比例部分)」の部分だけです。

Q.手続きが必要?それとも自動で変わる?

A.原則として、手続きは不要です。会社が届け出る標準報酬月額や賞与の情報をもとに、年金機構が自動で計算・調整します。自分の状況を詳しく確認したい場合は「ねんきんネット」か年金事務所へ。

Q.退職したら、減っていた分は取り戻せる?

A.過去に停止されていた分を「さかのぼってもらう」ことはできません。ただし退職後は支給停止がなくなり、在職中に積み上げた加入期間が「退職改定」として年金額に加算されます。退職後は年金額が増える方向になりますが、反映までにタイムラグ(数ヶ月程度)があります

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この記事はわかりやすさを優先して、細かいルールを省略している部分があります。最終的に正確な情報は、以下の公式サイトや、あなたが加入している年金事務所の窓口で確認してください。

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