子どもの大学・専門学校の学費、免除になるかも?高等教育の修学支援制度のしくみ

子どもの大学・専門学校の学費、免除になるかも?高等教育の修学支援制度のしくみ
最終更新日:2026.03.01
ざっくり言うと

子どもが大学や専門学校に進学するとき、入学金や4年分の授業料はかなりの金額になります。私立大学なら4年間で500万円を超えることも珍しくありません。ひとり親家庭をはじめ収入が多くない世帯には、特に大きな壁です。
そのために、学費そのものを減らしてくれる+毎月の生活費として奨学金がもらえる制度があります。しかも返済不要です。
これが「高等教育の修学支援新制度」と呼ばれるものです。

  • いくら?給付型奨学金 最大月7.5万円+授業料免除
  • 返済は?不要(給付型なので返さなくてよい)
  • 誰が?住民税非課税世帯・準ずる世帯の学生
  • 対象校は?大学・短大・高専・専門学校(認定校のみ)
  • 申し込みは?高3の春に予約採用で申し込むのが一般的
  • 窓口は?高校 or 進学先の大学・専門学校

注意:「借りて返す」タイプの貸与型奨学金(日本学生支援機構など)とは別の制度です。この制度は返済不要の「給付型」です。両方を併用することもできます。

あわせて読みたい サムネイル 高等学校就学支援金(私立高校の無償化)ってどんな制度? 高校の学費を支援する制度。ひとり親世帯は加算あり。大学進学前に活用できます。

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そもそも、なぜこんな制度があるの?

日本では長い間、「大学の学費は家庭が負担するもの」という考え方が続いてきました。でも実際には、家庭の収入によって大学進学率に大きな差があります。 お金に余裕がない世帯の子どもほど、進学を諦めたり、多額の借金(貸与型奨学金)を背負って大学に行ったりするケースが多かったんです。

ひとり親家庭は特にその影響を受けやすい立場にあります。 子育てと仕事を一人でこなしながら、何百万円もの学費を工面するのは並大抵のことではありません。

この「家庭の収入によって子どもの進学が左右される」という状況を変えるために、2020年4月にスタートしたのが「高等教育の修学支援新制度」です。 学費そのものを減らす「授業料等減免」と、毎月お金がもらえる「給付型奨学金」の2つをセットで提供することで、低所得世帯でも大学・専門学校に通えるようにしよう、という制度です。

高等教育の修学支援新制度:2つの支援 ① 授業料等減免 入学金・授業料が 減額または免除 国公立大:授業料ほぼ全額 私立大:授業料の大部分 払う学費そのものが 減る(または無料に) ② 給付型奨学金 毎月お金がもらえる (返済不要) 自宅通学:月2〜3.8万円 自宅外通学:月3.4〜7.6万円 在学中の生活費を 毎月カバーできる

※金額は2024年度・第Ⅰ区分(住民税非課税世帯)の代表例。詳しくは後述の金額セクションを参照。

つまり、「学費を減らしてもらいながら、毎月の生活費も支援してもらえる」のが、この制度の大きな特徴です。しかも両方返す必要がありません。ひとり親家庭など収入が多くない世帯の子どもにとって、進学のハードルをぐっと下げてくれる制度です。

誰がもらえるの? 所得の条件は?

条件は大きく2つです。「家庭の収入の条件」と「学力の条件」があります。

収入の条件(所得要件)

家庭の収入によって、もらえる金額が4段階に分かれています。

区分 世帯の収入の目安(4人家族の場合) 支援額
第Ⅰ区分 住民税非課税世帯(年収約270万円未満が目安) 全額支援
第Ⅱ区分 年収約300〜380万円未満が目安 2/3の支援
第Ⅲ区分 年収約380〜460万円未満が目安 1/3の支援
第Ⅳ区分 年収約600万円未満の多子世帯・理工農系の学生など(2024年度〜) 授業料減免のみ(授業料の一部)

収入の目安はあくまで参考です。家族構成・働き方・控除の状況によって大きく変わります。「うちは対象外かも」と思っても、一度申請してみることをおすすめします。

ひとり親家庭の多くは、住民税非課税か、それに近い収入水準です。つまり第Ⅰ区分または第Ⅱ区分に該当しやすく、最大の支援を受けられる可能性が高いです。「対象外では?」と思わず、まず申請してみることが大切です。

あわせて読みたい サムネイル 住民税非課税世帯って何?判定のしくみとメリット 収入がいくら以下だと住民税非課税になるか、どんな減免が受けられるかを解説。

逆に、対象外になるのはどんなケース?

  • 家庭の収入が第Ⅲ区分(または第Ⅳ区分)の基準を超えている
  • 入学する学校が「確認大学等」(文科省の認定校)に含まれていない
  • 在学中に成績要件を満たせなくなった(支援の廃止・停止の対象になる)
  • 過去にこの制度を利用して支援を打ち切られたことがある

学力の条件もあるって聞いたけど、どういうこと?

「給付型奨学金なんだから、学力は関係ないのでは?」と思う人もいるかもしれません。でも、この制度には学力の要件もあります。

申し込み時点での学力要件

高校在学中に申し込む場合(予約採用)、次のいずれかを満たす必要があります。

  • 高校の評定平均が3.5以上であること
  • または、評定平均が3.5未満でも、レポートや面談などで学習意欲が確認できること

「成績が悪いともらえないの?」と心配しているかもしれません。でも、評定平均3.5というのは「まったく普通の成績」程度のラインです。しかも成績が足りない場合でも、勉強の意欲や進学の目的をきちんと書ければ認められるケースがあります。担任の先生や奨学金担当の先生に相談してみましょう。

在学中の継続要件(毎年チェックがある)

奨学金をもらい続けるためには、大学でも毎年要件を満たす必要があります。

  • GPA(成績の平均点)が下位1/4以下にならないこと
  • 修得単位数が基準を下回らないこと
  • 出席状況が著しく不良でないこと

これらをクリアできれば、卒業まで支援を継続して受けられます。

奨学金はいくらもらえるの?

毎月の給付額は「学校の種類(国公立か私立か)」と「自宅から通うか一人暮らしか」によって異なります。区分別の月額をまとめると、次のとおりです。

学校の種類・居住形態 第Ⅰ区分(全額) 第Ⅱ区分(2/3) 第Ⅲ区分(1/3)
国公立大学・自宅通学 月 20,300円 月 13,600円 月 6,800円
国公立大学・自宅外(一人暮らし) 月 34,200円 月 22,800円 月 11,400円
私立大学・自宅通学 月 38,300円 月 25,600円 月 12,800円
私立大学・自宅外(一人暮らし) 月 75,800円 月 50,600円 月 25,300円

専門学校・短大・高専の金額は大学とやや異なる場合があります。JASSO(日本学生支援機構)の公式サイトで確認してください。

たとえば、住民税非課税世帯(第Ⅰ区分)の子どもが私立大学に一人暮らしで進学した場合、4年間で約363万円(月7.58万円×48ヶ月)の奨学金を受け取れる計算になります。これに授業料免除が加わるので、家庭の実質負担はぐっと減ります。

教育ローン・進学サポート

「修学支援制度だけでは足りない部分はどうすればいい?」

給付型奨学金でカバーできない学費や生活費は、教育ローンや貸与型奨学金で補う選択肢もあります。利率・返済期間・審査基準を比較して、最適な組み合わせを選びましょう。

  • 日本政策金融公庫の教育ローンも選択肢のひとつ
  • 貸与型奨学金との組み合わせも検討できる
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授業料の免除はどのくらい減るの?

給付型奨学金と同時に受けられる「授業料等減免」は、入学金と毎年の授業料の一部(または全部)を大学・専門学校側が免除してくれる制度です。 自分で申請するわけではなく、奨学金の採用と連動して大学が対応します。

国公立大学の場合(第Ⅰ区分)

  • 入学金:約28万2,000円 → ほぼ全額免除
  • 授業料:約53万5,800円(年間)→ ほぼ全額免除

私立大学の場合(第Ⅰ区分)

  • 入学金:最大約26万円まで免除
  • 授業料:最大約70万円(年間)まで免除

私立大学の場合、実際の授業料がこの上限を超えることもあります。その場合、超えた分は自己負担になります。

学費の負担イメージ(第Ⅰ区分・4年間) 国公立大学 本来の学費(4年間) 約244万円 授業料等減免(4年間) 約-242万円 給付型奨学金(4年・自宅外) 約+165万円(月3.4万×48) 自己負担:ほぼゼロ +生活費サポートを 毎月受け取れる 私立大学 本来の学費(4年間) 約540万円(平均的な文系) 授業料等減免(4年間) 最大約306万円まで 給付型奨学金(4年・自宅外) 約+364万円(月7.6万×48) 自己負担:一部残る 学部・大学によって 差が大きい

※学費はあくまで目安。実際の金額・免除額は学校・区分・学部等によって大きく異なります。

国公立大学なら、第Ⅰ区分(住民税非課税)の場合は学費がほとんどかからなくなります。「大学の授業料がほぼゼロになる」と聞いてもピンとこないかもしれませんが、これは本当のことです。ひとり親家庭であれば、まず「うちは第Ⅰ区分に入るのかどうか」を確認するところから始めましょう。

どうやって申し込むの? 手続きは難しい?

申し込みは基本的に「学校(高校または大学)を通じて行います」。自分でJASSO(日本学生支援機構)に直接申し込むのではなく、在籍している学校が窓口になります。

一番多いのは「予約採用」:高3の春に申し込む

進学前に「予約採用」として申し込むのが一般的です。合格前の段階で予約できるので、進路の見通しが立てやすくなります。

予約採用の流れ(高3の場合) ① 高3の4〜6月ごろ:高校で書類をもらう 先生から案内があることが多い。案内がなければ自分で聞く ② 申込書類・家庭の収入証明等を提出 収入証明・マイナンバー・学力確認書類などを準備 ③ JASSoから「採用候補者」の通知が届く 秋ごろ(10〜11月)に結果通知。区分も確認できる ④ 大学・専門学校に合格・入学 入学後に「進学届」を提出して確定(スカラネット) ⑤ 在学中、毎月奨学金が口座に振り込まれる 同時に大学への授業料等減免も適用される ⑥ 毎年「継続願」を提出して支援を続ける

※高校によってスケジュールが異なります。担任または進路担当の先生に確認してください。

入学後でも申し込める「在学採用」

高校のときに申し込めなかった場合や、途中から経済状況が変わった場合は、大学・専門学校在学中でも申し込める「在学採用」があります。

「高校のときに知らなかった」という人でも、入学後に申し込めます。申し込み時期は大学によって異なりますが、年1〜2回の募集があるのが一般的です。在籍する大学・専門学校の奨学金担当窓口に問い合わせてみましょう。

途中で打ち切りになることはある? こういうときどうなるの?

残念ながら、状況によっては支援が停止・廃止になることがあります。主なケースを整理しておきましょう。

成績が下がったとき

毎年、在学期間中の成績が審査されます。GPA(成績の平均)が下位1/4以下になったり、修得単位数が基準を大きく下回ったりすると、まず「警告」になります。警告が続くと支援が停止・廃止されます。

「廃止」になると、一部の金額の返還を求められる場合があります。「もらったお金を返す必要はない」と聞いていても、廃止になった場合はその限りではないので注意が必要です。ただし、一発廃止ではなく「警告→2年連続で改善されなければ廃止」というステップがあります。

家庭の収入が増えたとき

在学中に親の収入が大幅に増えた場合、区分が変わったり支援対象外になったりすることがあります。毎年秋ごろに収入の再確認(適格認定)があります。

休学・退学したとき

  • 休学:原則として休学中は支援が停止されます。復学すると再開できる場合が多いです。
  • 退学:支援が廃止されます。退学後は奨学金の返還を求められることもあります。

転学・編入したとき

転学先・編入先が「確認大学等」であれば、手続きをすることで支援が継続できる場合があります。ただし自動的には続かないので、転学・編入後すぐに手続きが必要です。

「貸与型奨学金」や「高校の就学支援金」と何が違うの?

名前が似ている制度がいくつかあります。「返す必要があるのか・ないのか」「高校向けなのか大学向けなのか」でまったく性格が違うので、ここで整理しましょう。

教育系の制度マップ 【高校段階の支援】 高等学校就学支援金 高校授業料の補助(返済不要) 私立高校授業料実質無償化 収入目安590万円未満の世帯 に追加支援あり 【この制度】 高等教育の修学支援新制度 授業料免除+給付型奨学金 大学・専門学校向け(返済不要) 貸与型奨学金 JASSO第一種(無利子) JASSO第二種(有利子) → 卒業後に返済が必要 給付型と貸与型は 組み合わせて使えます (給付型が優先適用) 高校 → 大学と両制度を続けて使えます。 就学支援金(高校)+修学支援新制度(大学)の 組み合わせで、高校〜大学まで支援が続きます。

※各制度の支援額・条件は、家庭の収入や学校の種類によって変わります。

制度 何を支援? 対象段階 返済
高等教育の修学支援新制度 授業料免除+毎月の給付金 大学・短大・高専・専門学校 不要(給付)
高等学校就学支援金 高校の授業料補助 高校(公立・私立) 不要(給付)
JASSO貸与型奨学金(第一種) 毎月の生活費(無利子で貸付) 大学・短大・高専・専門学校 必要(無利子)
JASSO貸与型奨学金(第二種) 毎月の生活費(有利子で貸付) 大学・短大・高専・専門学校 必要(有利子)
母子父子寡婦福祉資金(修学資金) 学費の貸付(無利子) 大学・専修学校等(ひとり親) 必要(基本無利子)
あわせて読みたい サムネイル 高等学校就学支援金(私立高校の無償化)ってどんな制度? 高校段階の授業料支援。ひとり親世帯は加算があるので、この制度との組み合わせで役立ちます。

ひとり親のご家庭で、子どもが高校生のうちに知っておきたいのは「高校→大学とシームレスに支援が続く」ということです。高校のうちに就学支援金で授業料を下げ、大学では修学支援新制度で授業料免除+奨学金を受ける、という流れが理想です。高3になる前から情報収集しておくのがおすすめです。

みんなが気になる Q&A

制度の細かいルールは学校や状況によって異なります。最終的には学校の奨学金担当窓口で確認してください。

Q浪人して入学した場合でも対象になる?
A対象になります。予約採用の申し込みを高3のときにしていなかった場合でも、進学後に在学採用として申し込めます。浪人期間があっても収入要件・学力要件を満たしていれば利用できます。
Q専門学校でも使えるの?
A使えますが、「すべての専門学校が対象」ではありません。文部科学省が認定した「確認校」である必要があります。進学を考えている専門学校が対象かどうかは、学校のホームページや入試担当窓口で確認してください。
Q親が離婚した年は収入の計算がどうなる?
A原則として「申請時点の世帯の収入」が基準になります。離婚後にひとり親になり収入が下がったケースでは、そのタイミングで改めて申し込むことで適用される可能性があります。在学採用のタイミングや「家計急変採用」という仕組みも活用できます。奨学金担当窓口に早めに相談するのが安全です。
Q給付型奨学金をもらいながら、貸与型も借りられる?
A基本的には可能ですが、給付型奨学金の受給者は貸与型の上限が制限されます。たとえばJASSO第一種(無利子)の場合、給付型をもらっている人は月2万円に上限が下がるケースがあります。制度の詳細はJASSOの公式サイトで確認してください。
Q子どもがアルバイトしていても受けられる?
A受けられます。学生本人のアルバイト収入は、収入の計算において「生計維持者(親)の収入」とは別に扱われます。ただし学生本人が一定以上の収入を得ている場合は、別途確認が必要なケースもあります。また、アルバイトで学業がおろそかになると継続要件を満たせなくなる場合があるので注意してください。
Q大学院には使えないの?
Aこの制度(修学支援新制度の給付型奨学金)は大学院には使えません。大学院向けには別の奨学金制度(JASSOの第一種・第二種など)があります。

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もっと詳しく知りたいとき(公式の情報)

この記事はわかりやすさを優先して、細かいルールを省略している部分があります。最終的に正確な情報は、以下の公式サイトや、在籍する(または進学予定の)学校の奨学金担当窓口で確認してください。

この記事は一般的なケースをわかりやすくまとめたものです。最終的な判断・必要書類は、在籍校の奨学金担当窓口または各公式情報が基準になります。

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