家族を養っている場合、その分だけ生活にお金がかかりますよね。
そのコストを税金に反映させて、払う税金を少し減らしてくれるのが「扶養控除」という仕組みです。
子どもや親など、配偶者以外の家族を養っている人が使える所得控除で、2025年の改正で対象がぐっと広がりました。
- 誰が?配偶者以外の家族を養っている人
- 対象の家族は?原則16歳以上の扶養親族
- 所得要件は?家族の年収目安:123万円以下(2025年〜)
- 控除額は?38〜63万円(年齢・同居で変わる)
- 手続きは?年末調整か確定申告で申告
- 2025年改正は?家族の収入要件が引き上げられた
注意:配偶者(夫・妻)は「扶養控除」ではなく、別の「配偶者控除」が対象です。扶養控除とは別に申告します。
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そもそも、なんで扶養控除なんてあるの?
税金は「稼いだお金」に対してかかります。でも、同じ年収300万円でも、一人暮らしの人と、親を養いながら生活している人では、実際に使えるお金はぜんぜん違いますよね。
そのコスト差を税金に反映させよう、というのが扶養控除の発想です。家族を養っている分だけ「課税対象のお金」を減らして、税負担を和らげてくれます。
扶養控除で「課税対象」を減らすほど、税金は少なくなる
つまり、扶養控除は「税金のかかる土台(課税所得)」を削るしくみです。控除額が大きいほど、削れる金額も増えて節税効果が出ます。
誰を扶養に入れられるの?条件はあるの?
扶養控除の対象になる「扶養親族」に該当するには、次の4つの条件をすべて満たす必要があります。
条件① 配偶者以外の親族である
6親等内の血族・3親等内の姻族が対象です。子ども・親・祖父母・きょうだい・孫などが典型。配偶者(夫・妻)はここには含まれません。里子や老親の養護委託を受けている場合も対象になることがあります。
条件② 生計を一にしている
同居しているのが典型ですが、別居でも生活費や学費などを仕送りしていれば「生計が一」とみなされます。子どもが一人暮らしで大学に通っている場合でも、仕送りをしていれば対象です。
条件③ 家族の所得が一定以下
扶養に入れる家族側の収入にも上限があります。
- 2024年分まで:合計所得金額が48万円以下(給与収入のみなら年収103万円以下が目安)
- 2025年分から:合計所得金額が58万円以下(給与収入のみなら年収123万円以下が目安)
「年収の壁」ってよく聞きますよね。2025年から給与所得控除の最低保障額が65万円に上がったため、年収基準も103万円 → 123万円に引き上げられました。
パートで働くお子さんや親御さんを扶養に入れている場合、この改正で対象になり得る人が増えています。
条件④ 事業専従者でない
個人事業主の家族が、その事業で給与(専従者給与)を受けていると対象外になります。会社員の家族には基本的に関係ない話です。
扶養控除が使えるのは「16歳以上」だけ
上記の条件を満たした扶養親族のうち、所得税の扶養控除が実際に使えるのは年末時点(12/31)で16歳以上の人だけです。
※ 16歳未満の子は所得税の扶養控除はありませんが、住民税の非課税判定など別の場面で扶養人数が影響することがあります。
いくら控除できるの?年齢で変わるってほんと?
扶養控除の金額は、扶養する家族の年齢と、同居しているかどうかで変わります。
所得税の控除額(年末時点の年齢で決まる)
- 一般(16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満) → 38万円
- 特定扶養親族(19歳以上23歳未満) → 63万円 ★大学生世代は優遇
- 老人扶養親族(70歳以上) → 48万円
- 同居老親等(70歳以上で、本人または配偶者の直系尊属と同居) → 58万円
大学生世代(19〜22歳)が63万円と特別に高いのは、教育費がかかる時期だから。たとえば所得税率が10%の人なら、63万円 × 10% = 6万3千円の節税になります。
「同居老親等」の判定、間違えやすいポイント
入院中の親は「一時的に病院に滞在しているだけ」なので、長期でも同居扱いになることが多いです。一方、老人ホームに入所している場合は、施設が居所になるため同居にはならないのが一般的です。
税金はどれくらい安くなるの?
扶養控除は「課税所得を減らす控除」なので、節税額は控除額 × あなたの所得税率で概算できます。所得税率は5〜45%で変わるので、同じ扶養控除でも収入によって効果が違います。
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住民税の扶養控除、所得税と何が違うの?
住民税にも扶養控除があります。ただ、所得税と控除額が違うのが注意ポイントです。
年末調整や確定申告で扶養を正しく申告すると、翌年度の住民税にも自動的に反映されます(自治体によって例外あり)。
所得税と住民税、控除額の違い一覧
| 区分 | 所得税の控除額 | 住民税の控除額 |
|---|---|---|
| 一般 | 38万円 | 33万円 |
| 特定扶養(19〜22歳) | 63万円 | 45万円 |
| 老人扶養(70歳以上) | 48万円 | 38万円 |
| 同居老親等(70歳以上・同居) | 58万円 | 45万円 |
住民税の税率は一律10%程度(都道府県分・市区町村分の合計)が一般的です。一般扶養で33万円 × 10% = 3万3千円の節税、特定扶養なら45万円 × 10% = 4万5千円の節税目安になります。
国外に住む家族も扶養に入れられるの?
海外に住む親族を扶養に入れることは可能です。ただし、国内の場合と比べて年齢の制限が厳しくなるうえ、書類の提出が必要になります。
国外に住む家族で扶養に入れられる年齢帯
- 16歳以上30歳未満:対象になり得る
- 70歳以上:対象になり得る
- 30歳以上70歳未満:下記のいずれかに該当する場合のみ
- 留学により非居住者になった
- 障害者である
- その年に生活費・教育費として38万円以上を送金している
必要な書類は?
年末調整・確定申告で次の書類の提出(または提示)が必要です。外国語の書類には翻訳文が必要です。
- 親族関係書類:戸籍謄本、パスポートのコピーなど
- 送金関係書類:銀行の送金記録、家族カードの利用明細など
- 留学要件に該当する場合は留学ビザ等の書類も追加
注意:現金を知人に預けて渡すなど、送金の証拠が残らない場合は「送金関係書類」が用意できず、扶養控除を受けられないことがあります。必ず銀行振込など記録が残る方法で送金しましょう。
年末調整・確定申告、どうやって申告するの?
会社員の場合:年末調整で申告
毎年10〜11月ごろ、会社から「扶養控除等(異動)申告書」という書類が配られます。そこに扶養している家族の情報を記入して提出するだけでOKです。
年の途中で家族の収入状況が変わったり、新たに扶養する家族が増えた場合は、すぐに会社の総務・経理に連絡してください。年末調整で精算されます。
自営業・フリーランス・副業ありの場合:確定申告
確定申告書の「所得控除」欄に扶養控除を記入します。年末調整で申告し忘れた会社員も、確定申告(還付申告)で後から扶養控除を反映できます。
同じ家族を、2人が同時に扶養に入れることはできません。
たとえば父と母が同じ子どもを、それぞれの年末調整で扶養控除に入れることはNGです。家計の実態に合わせてどちらか1人が申告します。
「配偶者控除」「社会保険の扶養」とは違うの?
「扶養」という言葉が使われる制度はたくさんあって、混同しやすいです。先に整理しておきましょう。
「扶養控除」「配偶者控除」「社会保険の扶養」は別々の制度
混乱しやすいのは「税の扶養≠社会保険の扶養」という点です。税で扶養に入っていても、健康保険の扶養には入れないケース(逆も)があります。それぞれ別々に確認しましょう。
2025年〜の新制度「特定親族特別控除」ってなに?
19〜22歳の子どもがアルバイト等で収入を得ていて、扶養控除の要件(年収123万円以下)を超えてしまう場合でも、「特定親族特別控除」という別の控除が新設されました。
扶養控除とは申告書が別なので、見落としに注意してください。収入が103〜150万円程度のお子さんがいる場合は確認してみましょう。
みんなが気になるQ&A
A.可能な場合があります。「生計を一にする」かどうかがポイントで、生活費・療養費などの仕送りで生計が一になっていれば対象です。送金の証拠(銀行記録など)を残しておきましょう。
A.所得税の扶養控除は16歳以上が対象なので、16歳未満は対象外です。ただし、住民税の非課税判定など、別の場面で扶養人数が影響することがあります。
A.123万円は給与収入のみの場合の目安です。判定は「合計所得金額58万円以下」で行うため、副業収入・株の配当・年金などがあると条件が変わります。年末時点の所得で最終判定します。
A.確定申告(還付申告)で扶養控除を反映できます。申告内容は翌年度の住民税にも連動するので、忘れずに申告しましょう。過去5年分までさかのぼって申告できます。
A.2025年分から「特定親族特別控除」が新設され、19〜22歳の親族の収入が扶養控除の要件を超えても、所得帯によっては別の控除が使えます。申告書が別になるので注意してください。
A.別々の基準です。社会保険(健康保険)の扶養は年収130万円未満(60歳以上は180万円未満)が目安で、税の扶養控除(年収123万円以下)とは判定基準が違います。それぞれ別々に確認が必要です。
A.原則、その年の12月31日時点の状況で判定します(年の途中で亡くなった場合などはその時点)。年末に向けて家族の収入状況が変わりそうな場合は、早めに会社へ連絡しましょう。
もっと詳しく知りたいとき(公式の情報)
- 国税庁 タックスアンサー:扶養控除(No.1180)
- 国税庁:令和7年度税制改正(所得要件58万円への引き上げ)
- 国税庁:給与所得者の扶養控除等(異動)申告(年末調整)
- 国税庁:令和7年分 年末調整のしかた
- 国税庁:非居住者である親族について扶養控除等の適用を受ける方へ(PDF)
この記事は一般的なケースをわかりやすくまとめたものです。最終的な判断・必要書類は、国税庁の公式情報や税務署・税理士への相談で確認してください。
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