障害厚生年金ってなに?いくらもらえる?申請もわかりやすく解説

障害厚生年金ってなに?いくらもらえる?申請もわかりやすく解説
最終更新日:2026.02.03
ざっくり言うと

病気やけがで、長く働けなくなったとき。収入がなくなるのが、一番つらいですよね。
会社員や公務員として働いていた人は、厚生年金に入っていた期間があれば、 障害の程度に応じて年金が受け取れます。 これが「障害厚生年金」です。

  • いくら? 等級・加入期間による(3級でも最低62万円/年)
  • 誰が? 厚生年金に加入していた会社員・公務員など
  • 何級まで? 1〜3級(3級は厚生年金だけにある等級)
  • 申請先は? 年金事務所(日本年金機構)

「会社を休んでいるあいだのお給料のかわり」にもらえる傷病手当金とは別の制度です。 条件が合えば両方もらえることもあります。

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そもそも、なんで「障害厚生年金」があるの?

ふだん会社員として働いていると、給料から毎月「厚生年金保険料」が引かれていますよね。 この保険料は、老後の年金だけに使われているわけではないんです。

病気やけがで長期的に働くことが難しくなったときにも、保険からお金が出るしくみがあります。 それが障害年金です。

日本の障害年金は「二階建て」になっています。 全国民が入っている国民年金からもらえる部分(1階)と、 会社員・公務員だけが上乗せでもらえる部分(2階)です。

障害年金の二階建てのしくみ 自営業・学生など 障害基礎年金 (1・2級のみ) 会社員・公務員など + 障害厚生年金 (1〜3級 + 障害手当金) 障害基礎年金 (1・2級のみ) 3級・障害手当金 は厚生年金だけにある 会社員で1・2級 → 基礎年金+厚生年金(二階建て) 会社員で3級 → 厚生年金だけ(基礎年金は出ない) 自営業で1・2級 → 基礎年金だけ(3級はない)

初診日に厚生年金に加入していたかどうかで、もらえる年金の種類が変わります。

つまり、初診日(最初に病院に行った日)に会社員・公務員だった人は、障害が3級以上であれば障害厚生年金がもらえます。 自営業や学生だと3級はなく、1・2級のみの障害基礎年金だけになります。 初診日の時点でどの保険に入っていたか、がポイントです。

いくらもらえるの?等級別の年金額

障害厚生年金の金額は、等級厚生年金の加入期間・給料の水準によって変わります。 多くもらっていた人・長く働いていた人ほど、金額が大きくなるしくみです。

等級ごとのざっくりしたイメージ

  • 1級:他の人の介助がないと日常生活が難しい状態。報酬比例の年金額 × 1.25 + 配偶者加給(条件あり)
  • 2級:常に介助は必要ないが、日常生活が著しく制限される状態。報酬比例の年金額 + 配偶者加給(条件あり)
  • 3級:従来どおりの仕事は難しいが、別の仕事や軽作業は可能な状態。報酬比例の年金額(最低保障あり)

1・2級の場合は、この障害厚生年金に加えて障害基礎年金も別途もらえます。 ざっくり言うと、1・2級の人は「2種類の年金が重なって出る」イメージです。

「報酬比例」ってどういう計算?

会社勤めのあいだに引かれた厚生年金保険料の記録をもとに計算します。 老齢厚生年金と同じ計算式で、加入期間が短い人(300月未満)でも、300月分として計算してもらえる最低保障があります。 なので、若くして病気になった人も一定の水準が守られています。

3級には「最低保障額」がある

3級の場合、計算した金額が一定額を下回ったとしても、最低保障額(令和7年度:623,800円/年)が保証されます。 つまり、どんなに加入期間が短くても、年間約62万円はもらえます。

「配偶者の加給年金額」って聞き慣れないですよね。 1・2級で障害厚生年金をもらっている人に、65歳未満の配偶者がいて生計を支えている場合、 年間239,300円(令和7年度)が上乗せされるしくみです。 配偶者がパートで一定額以上の収入があると対象外になることもあります。

実際の年金額は、加入期間・標準報酬・改定率などで変わります。「ねんきんネット」や年金事務所で試算を確認するのが確実です。

誰がもらえるの?3つの条件

障害厚生年金をもらうには、概ね次の3つをすべて満たす必要があります。 条件はシンプルに言うと「初診日・障害の程度・保険料の納付」の3点です。

1
初診日の要件:厚生年金に加入していた日に初めて病院へ行った

障害の原因となった病気やけがについて、最初に医師の診察を受けた日(初診日)が、厚生年金の加入期間中であること。 会社を退職したあとに初めて病院に行った場合は、原則として対象外になります。

2
障害の程度の要件:1〜3級に該当している

「障害認定日」(初診日から1年6か月後など)の時点で、障害等級の1〜3級に当てはまること。 等級は病名ではなく、症状や日常生活・仕事への支障の程度で判断されます。

3
保険料納付要件:保険料をちゃんと払っていた

初診日の前日時点で、次のどちらかを満たすこと。

  • 初診日のある月の前々月まで、公的年金加入期間の3分の2以上が納付または免除されている
  • 初診日が65歳未満で、初診日のある月の前々月までの直近1年間に未納がない(特例)

保険料の未納が多いと、要件を満たせなくなることがあります。 年金保険料が払えないときは「免除申請」という制度があり、 免除してもらった期間は「未納」とはみなされません。 払えないときは放置せず、市区町村の窓口に相談してみてください。

3つの条件は、障害基礎年金とほぼ共通です。初診日が厚生年金期間中でない場合は、障害厚生年金ではなく障害基礎年金が対象になります。

いつからもらえるの?「認定日」ってなに?

障害厚生年金をもらいはじめるタイミングには、2つのルートがあります。

認定日請求(さかのぼりができる)

「障害認定日」とは、原則として初診日から1年6か月が経った日のことです。 その日の時点で1〜3級の状態なら、その翌月分から年金が発生します。 請求が遅れても、5年前までさかのぼって受け取れます(時効あり)。

事後重症請求(さかのぼりはできない)

認定日の時点では症状が軽くて等級に該当しなかったけれど、その後悪化した場合のルートです。 請求した月の翌月分から年金が始まり、過去にさかのぼっては受け取れません。 請求できるのは、65歳の誕生日の前々日までです。

認定日から時間が経つほど、さかのぼりに必要な書類(昔のカルテなど)が手に入りにくくなります。 「もしかしたら対象かも」と思ったら、早めに年金事務所へ相談することが大事です。 相談だけなら無料・予約なしでも可能なことが多いです。

無料相談サービス

「自分が対象かわからない」「申請を一人でやるのは不安」という方へ

障害年金は、書類の準備や初診日の証明でつまずきやすい制度です。社会保険労務士(社労士)に無料で相談できるサービスを使えば、受給できるかどうかの見通しや手続きの流れを教えてもらえます。

  • 初診日の確認方法や証明書の取り方を一緒に整理してもらえる
  • 診断書の書き方について主治医に伝えるポイントを教えてもらえる
  • 成功報酬型が多く、もらえなければ費用がかからないケースも
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どうやって申請するの?手続きの流れ

申請窓口は、原則としてお住まいを管轄する年金事務所です(共済組合員だった場合は各共済組合)。 手続きは書類が多く、準備に数か月かかることもあります。

手続きの流れ

1
年金事務所に事前相談

まず予約して窓口へ。「初診日・加入記録・必要書類チェックリスト」を一緒に確認してもらいます。

2
初診日を証明する(受診状況等証明書)

最初に受診した医療機関に「受診状況等証明書(所定様式)」の作成を依頼します。 廃院になっている場合は代替書類で対応します。

3
主治医に診断書を作成依頼

障害認定日時点または請求日時点の状態について、年金専用の診断書(所定様式)を作成してもらいます。 診断書の内容が審査の要になるため、症状や日常生活の支障を具体的に書いてもらうことが重要です。

4
病歴・就労状況等申立書を作成

発病から現在までの経過、就労や日常生活への影響を自分で記入します。診断書と矛盾しないよう一致させることが大切です。

5
書類を揃えて窓口に提出

請求書・診断書・証明書・本人確認書類などをまとめて提出。 審査には通常3〜6か月かかります。

主な必要書類

  • 障害年金請求書(窓口でもらえます)
  • 診断書(認定日用 または 請求日現在用)
  • 受診状況等証明書(初診日の証明)
  • 病歴・就労状況等申立書
  • 基礎年金番号が分かるもの(年金手帳・マイナンバーカードなど)
  • 本人確認書類(運転免許証など)
  • 振込先口座のわかるもの
  • 配偶者の加給・子の加算を受ける場合は戸籍謄本・住民票など

必要書類は、初診日・加入状況・障害の種類によって変わります。事前に年金事務所でチェックリストをもらい、不足がないよう準備しましょう。

こんなとき、どうなるの?ケース別

会社員がうつ病で長期休職したとき(2級想定)

初診日が厚生年金の加入中であれば、認定日に2級と認定されれば障害基礎年金2級+障害厚生年金2級が出ます。 生計を支えている配偶者がいれば、配偶者の加給年金額も上乗せ対象になります。 休職中に傷病手当金をもらっていた場合でも、障害年金と重複して受給できます(金額調整なし)。

脳梗塞で片麻痺になったとき(1〜2級想定)

介助の必要度や日常生活能力の評価次第で、1級または2級になることが多いです。 1級なら障害基礎年金1級+障害厚生年金1級(報酬比例×1.25)+配偶者加給の組み合わせになり、 就労できない期間の生活費を大きく補えます。

交通事故の後遺障害で職種変更が必要になったとき(3級想定)

重い物を持つ仕事は無理だが、デスクワークはできるといった状態なら、3級が検討されます。 報酬比例の年金額が少ない場合でも、3級の最低保障額(約62万円/年)が適用されます。 この場合、障害基礎年金は出ず、障害厚生年金だけになります。

労災保険(仕事・通勤が原因の傷病)との組み合わせになるケースもあります。 同じ傷病で労災から年金が出ている場合、障害厚生年金は全額もらえますが、労災年金の側で一部が減額調整されます。 複数の制度が絡む場合は社労士への相談が安心です。

「傷病手当金」「労災」「手帳」とはどう違うの?

障害厚生年金と似た名前・場面で出てくる制度が複数あります。 それぞれ目的と判定基準が違うので、整理しておきましょう。

傷病手当金(健康保険)

病気・けがで休職しているあいだの所得補償です(最長1年6か月)。 「今、仕事を休んでいるか」が基準で、長期的な障害の状態とは別に判断されます。 傷病手当金が終わったあとに障害年金に切り替わるケースもよくあります。

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労災保険(障害補償給付)

仕事中・通勤中の事故や病気が原因のときに使う制度です。 私傷病(仕事と関係ない病気・けが)には使えないので、まず「労災かどうか」を切り分けることが大事です。

障害手当金(一時金)

初診日から5年以内に傷病が治って(症状固定)、障害厚生年金3級より軽い障害が残った場合にもらえる一時金です。 「年金」ではなく1回払いで、金額は報酬比例の年金額の2年分が基本です。

障害者手帳(身体・療育・精神)

福祉サービス・税の控除・交通費割引などの入口になる制度で、障害年金とは判定の基準がまったく別です。 手帳の等級が高くても年金が不支給になることも、逆もあります。 どちらかをもらっているからといって、もう一方が自動的に決まるわけではありません。

みんなが気になるQ&A

A. 障害の程度が1〜3級に該当し続けている限り、就労していても原則もらえます。 ただし、更新時の審査では就労状況も含めて判断されます。 仕事の内容や時間が大きく変化した場合は等級が変わる可能性もあります。

A. 障害年金生活者支援給付金は、障害基礎年金1・2級を受けている人が対象です。 障害厚生年金3級のみの人は原則対象外です(3級には障害基礎年金が連動しないためです)。

A. 状態が悪化している場合や、初診日・加入記録の証拠が新たに見つかった場合は、事後重症請求や再申請を検討できます。 過去の不支給通知書と現在の診断書を持参して、年金事務所や専門の社労士に相談するのがよいです。

A. 障害基礎年金・障害厚生年金はいずれも所得税・住民税の課税対象外(非課税所得)です。 ただし、健康保険の扶養判定では収入として扱われることが多いため、 配偶者の扶養に入っている場合は確認が必要です。

A. 自動的にはもらえません。障害者手帳と障害年金は別の制度で、判定基準も異なります。 手帳の等級が高くても年金が不支給になるケースもあります。 別途、年金事務所への請求が必要です。

A. 65歳以降は老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給権も発生します。 原則として「1人1年金」のルールがあるため、 組み合わせ方を選択する必要があります(例:老齢基礎年金+障害厚生年金、など)。 加入期間が長い人ほど老齢厚生年金が大きくなるため、切り替えを検討するケースもあります。

もっと詳しく知りたいとき(公式情報)

この記事は一般的なケースをわかりやすくまとめたものです。手続き・要件・必要書類は個人の状況で変わります。最終的な判断は年金事務所・共済組合の案内を基準にしてください。

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